時は戦国「のろし」で城跡つなぐ 明智光秀ゆかりの地 かつて激戦も「今は心一つに」

2019.04.03
ニュース丹波市丹波篠山市明智光秀と丹波地域

甲冑を着て「のろし」企画やそれぞれの主催イベントをPRする関係者=2019年3月22日午後3時45分、兵庫県丹波市柏原町柏原で

「のろし」上げ戦国時代にタイムスリップ―。兵庫県丹波地域にゆかりが深い戦国武将・明智光秀を主人公にしたNHK大河ドラマ「麒麟がくる」の放映を翌年に控え、ドラマをPRするとともに、地元の武将や歴史にスポットを当てようと、4月28日、同地域の3つの城跡で同時に「のろし」を上げるイベントが行われる。いずれも光秀に関わりがある城跡で、激しい戦が行われた過去がありながらも、400年以上の時を経て「のろし」で心をつなぐ。

 

「丹波攻め」の地、光秀は苦戦し敗走

今なお石垣が残る黒井城跡

 天正年間、織田信長の命を受けた明智光秀が、丹波国平定戦「丹波攻め」を繰り広げた。同3年、同国に覇を唱えていた黒井城(丹波市)の城主・赤井(荻野)悪右衛門直正との戦いでは、直正が光秀軍を挟み撃ちにする戦法「赤井の呼び込み戦法」を展開し、光秀は敗走した。この作戦は、八上城(篠山市)の城主・波多野秀治が赤井方に寝返ったことに起因するともいわれ、直正と秀治との間にかねてからの密約があった可能性もあるという。

 しかし、光秀は再び丹波国を攻め、黒井城と八上城の連携を分断すべく、丹波市と篠山市の境にある金山の頂に「金山城」を築き、にらみを利かせた。同7年、光秀は赤井方を破り、黒井城は落城した。

 

各地域で光秀や地元武将顕彰の催しも

金山城跡に残る石垣

 「のろし」イベントは、黒井城跡、八上城跡、金山城跡で午前11時から行う。炎が出ない山岳救助用の発煙筒をたいて赤色の煙を上げ、3つの山をつなぐ。また同日、各城跡周辺では各団体が光秀や地元武将にちなんだ催しを開催する。

 春日町黒井で開かれるイベント「ようこそ御茶の国丹波へ」は、黒井城跡地域活性化委員会の主催。城主の赤井直正が戦の前に茶をたしなんだことに着想を得た催し。午前10時から始まり、同城跡では手作り甲冑を着た武者によるお茶会、能楽師による新作能「直正」が上演される。ふもとの興禅寺では、午前10時から本堂で抹茶を味わうことができ、午後から和太鼓の演奏や新作能の上演、雅楽演奏などがある。同寺でのイベントは有料。同寺は、光秀の家臣・斎藤利三の娘で、のちに徳川家光の乳母となる「春日局」の生誕地。

八上城跡では、八上城麒麟がくる委員会が同城跡登山を企画。午前9時に高城会館(篠山市糯ケ坪)に集合して登る。山頂では地元住民でつくる「高城歌舞伎」が2つの演目を舞と唄、パーカッションで披露する。参加自由で無料。

丹波地域ビジョン委員会のグループ「つなぐ」は、「1578the金山」と題したイベントを開催。午前8時半に追入神社(篠山市追入)に集合し、金山城跡への登山を楽しんだあと、昭和の鐘ヶ坂トンネルで音楽コンサートを行う。

いずれも少雨決行。

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