兵庫県丹波篠山市にある兵庫医科大学ささやま医療センターの分娩休止問題を受け、市内の女性2人でつくる「ハッピーバースプロジェクト」がこのほど、妊婦や母親らを対象にしたイベント「『産む』を語ろう!第2弾」を開いた。
プロジェクトを展開している助産師・成瀬郁さん(52)と中村貴子さん(50)が、鮫島浩二さんの詩「わたしがあなたを選びました」を朗読。赤ちゃんの立場から書かれた詩で、「おとうさん、おかあさん、いまわたしは思っています。わたしの選びは正しかった、と。わたしがあなたたちを選びました」と呼びかけ、誰もが目を閉じてじっくり聞き入った。
その後、「日本妊産婦支援協議会 りんごの木」(古宇田千恵代表)が、出産時のつらい体験を劇にした「バーストラウマ劇」を上演した。
2人目を出産予定の妊婦が助産師から前回のお産について聞かれ、病院で「痛くて思わず叫んだら、『大きな声出さないで』『お母さんが辛抱せんでどうするの』と言われた」と打ち明け、「私ががんばれていないんだって」と自分を責めていた過去を話す。
対して助産師が、「一人でがんばったね。お母さんががんばったから赤ちゃんもがんばれたんだよ」などと優しい言葉を投げかけ、妊婦が自分の気持ちを大切にすることに気づくという内容。暗くなりがちな話でも、阪神タイガースのユニホームに背番号「44」を背負い、馬のかぶり物をした「バーストラウマ」のトラ子が登場するなど、笑いの要素も盛り込んだ。
古宇田代表は、東京23区で妊娠・出産期の死因1位がうつ病などによる「自殺」であることや、WHO(世界保健機関)のガイドラインで、「母子が出産時に潜在能力を発揮することが大切」としていることを紹介し、「死なせずに産ませるだけでは母子の命は守れない」と指摘。「お母さんがポジティブな出産体験をすることが大切。そのためには助産師の力が求められる。子育てにあったかいと思えるまちは『また産みたい』と思えるまち。丹波篠山市をそんなまちに」と呼びかけていた。