「ひとたね パン工房」 山本香奈子さん(丹波市氷上町稲畑)

2019.12.02
たんばのひと特集

山本香奈子さん

「パン屋の時間が好き」

大阪府豊中市から丹波市に移住して8年目。1人で切り盛りするパン工房を自宅倉庫の一角にオープンして丸3年が経った。野菜などから酵母をおこし、3日がかりでパンを焼く。“本業”では夫の浩之さん(44)とトマトなどを育てており、「農家のパン屋です」とほほ笑む。

パン工房と農園のブランド名は「ひとたね」。一粒の種から作物が実る神秘、いろいろな人にお世話になっていること、暮らしの一つひとつを丁寧にしていきたいという思いなどが詰まっている。

高校生、中学生、小学生、こども園児の4人の男の子のお母さんでもある。営業日は週3日、昼を挟んで3時間のみ。学校行事などは優先している。スケジュール調整が大変な時もあるが、「パン屋の時間が好き。パン屋をやっているから、子育ても楽しめる」。

大手機械メーカーのサラリーマンだった浩之さんの転勤で、米国アトランタの郊外に4年住んだ。仕事は早く終えて家族との時間を大切にするアメリカ人の生活にショックを受け、生き方を考える契機になったという。

「誰かにこうしなさいと言われてするのではなく、自分で決めて、自分の生きたいように生きたい。子どもたちもそうあってほしい」。夫婦で話し合い、浩之さんが以前からあこがれていた農家へと転身した。

丹波市を移住先に選んだのは偶然だった。親たちが神戸に住んでいることもあるが、ブドウ狩りに来て、山並みの美しさにひかれたという。「ここは自分たちが決めた場所。できることを精いっぱいやって、丹波の生活をしっかり楽しみたい」。44歳。

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