伝えてきた里山の良さ実践する生活求め移住 青木繁さん(丹波市青垣町小稗)

2020.01.12
たんばのひと特集

青木繁さん

薪集め鶏飼い畑仕事

琵琶湖の西に位置する滋賀県の中山間地域、高島市から里山の環境を求め、「田舎から田舎へ」引っ越した。小さな集落で、親切な住民たちに囲まれ、「食糧自給率50%、エネルギー自給率50―70%ほどの暮らし」を目標に、静か、かつ意欲的な生活を昨年4月にスタートさせた。

小学校教諭を48歳で早期退職し、高島市の「県立朽木いきものふれあいの里」(閉鎖)の館長を務めるなど、長く滋賀県の植物、自然と関わってきた。著書に「高島の自然」がある。

里山の暮らしの良さを伝えてきたが、滋賀の自宅では生活実践ができず、新天地を求めた。「頭では理解しているし、情報もある。今まで言ってきたことの実践にチャレンジできる理想的な場所」という新居は、山がすぐそこに迫る昭和38年建築の木造平屋建ての小さな民家。

木があり、山水があり、畑がある。中庭を菜園にし、ニワトリを放す。農地で野菜やソバを育てる。ミツバチを飼う。「薪ストーブの燃料は敷地内で育つ木を使う。もう少し蓄電池の価格が下がれば、ペダルを漕いで発電する「自転車発電」にも取り組みたいと考えている。「大家族や大きな家では無理。自分で補修もできる小さな家がちょうど良かった」

自給自足をする気はなく、電気も灯油も足りずは使う。「異質な物を持ち込む生活は好まない。植物の植生が、長い時間をかけてできるように、長い年月をかけて育まれたここでの暮らしを地域の人に教わりながら、自分の暮らしを成り立たせたい」

趣味を仕事にし植物の調査は滋賀で十分楽しんだ。「こちらでは家の周りの植物や昆虫を近所の子どもと調べるくらいにしたい」。67歳。

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