新春恒例の本紙企画「不思議探訪」。まちを歩けば、さまざまな「?」に出くわします。今年は「像」に焦点。なぜ、そこに。どんな意味が。取材を進めると、いろんな思いが込められていました。
屋根の上に寝そべる大きな牛、親子とおぼしき人々、さらには転がる人影…。そんな何とも不可思議な光景が、兵庫県丹波市柏原町柏原のまちなかで見られる。どうやら像のようだが、誰が何の目的で―?
この家の主を訪ねてみると、彫刻家の3代目磯尾柏里さん(60)だった。兵庫県内で唯一の日展会員という作家だ。
「牛は父の2代目柏里、人物は私の作品です」
なぜ屋根の上にあるのか尋ねると、「もともとは空き地に並べていたんですが、結婚する時、そこに離れを建てることになり、置き場がなくなったので上にあげたんです」とあっさり。無造作に置かれているが、展覧会の入選作品がほとんどだそう。
国道からも少し見えるため、「動物がいっぱい見えたので立ち寄った」という人もいるとか。「座っている裸婦像を指さして笑いながら通る女子高生もいますよ」と磯尾さん。「何か反応があるのはうれしいですね」と作家らしい感想で笑った。