感染者発生も「混乱すぐ落ち着いた」 コロナ1例目が無事収束のまち 保健所長「市民の日常生活に影響なし」

2020.03.27
ニュース丹波市地域


「丹波の人は落ち着いている」と話す逢坂所長=2020年3月24日午後2時49分、兵庫県丹波市柏原町柏原で

3月9日に兵庫県内陸部の丹波市内で新型コロナウイルスの患者が初確認されて以降、同市内では感染者の発生が確認されておらず、丹波新聞社の調べによると、感染者はすでに退院した。濃厚接触者の健康観察期間も終わった。都市部と地方部との違いはあるが、他に感染者を出すことなく、無事収束した丹波市。とはいえ、いつ新しい感染者が確認されるとも知れない状況は続いている。医師でもある逢坂悟郎・同県丹波健康福祉事務所長(保健所長)に今回の教訓を踏まえ、今後気を付けたい点を聞いた。

―世界中で感染が増え、県内でも阪神間で感染者が日々増えている。保健所への相談状況は

3月9日から数日は、「感染が確認された男性のアルバイト先に食事に行ったが大丈夫か」といった電話相談が多く、1日に100件を超えていた。それもすぐに収まった。今は、日に10件程度と、非常に落ち着いている。

―件数が少ない中で寄せられる相談内容は

「海外で暮らす家族が、一時帰国で戻って来る。どこで検査をしてもらえるか」といった検査関係が多い。医師の判断で検査ができるが、「不安だから」「念のために」は検査対象にならない。

―今回の件で、住民に知ってもらいたいことは

ほとんどの人の日常生活に直接的には影響がなかったという事実だ。生活が制約されたのは、当該男性とアルバイト先が同じで、濃厚接触者となり、保健所が健康観察を実施した人くらいで、ごく少数だ。接触者には2週間、検温など健康観察結果の電話連絡のほか、なるべく出歩かないようお願いした。

ウイルスが蔓延して、生活に支障が出ている海外とは違う。感染者が確認された以降も、買い物にも行けるし、食事にも出かけられる。スーパーの棚から食料品がなくなるなんてこともない。もし、今後新たに感染者が確認されたとしても、今回と同じようなこと。生活の影響を受ける人はごく一部。普段通り生活することが大切だ。

―とはいえ、警戒は継続しなければならないと考える。ポイントは

手洗いと、あればマスクを着用することだ。この冬から春にかけて、手洗い励行やマスク着用が徹底されたからか、感染性胃腸炎やインフルエンザといった他の感染症が、全県と同じように丹波地域でも減っている。接触感染でうつる疾患が減っているということは、みなさんが新型コロナウイルス対策で手洗いをがんばっているからだと考えられる。アルコールがなくても、石けんでもハンドソープでも良い。しっかり30秒間の手洗いをし、付着したウイルスを洗い流し、口に入るのを抑える。

―マスクは手に入れづらい

手作りのマスクでもいいし、マスクが手に入らなければ、咳エチケットを心掛けてほしい。かかっても、8割が軽症で治ると言われているように、「気付かないうちに感染し、気付かないうちに治る」人が多い。その間に誰かにうつさないようにするには、日頃からマスクをすることだ。マスクをし、手洗いをすれば、「知らないうちにうつす」のを避けられる。

―感染1例目の男性もアルバイト先でマスクに手袋をしていた

そう。誰にもうつしていなかった。「自分が感染しているかもしれない」と考え、人にうつさないために「手洗いと、マスク」を考えてほしい。

―懸念することは

介護関係の施設などでの大量感染だ。すでに「持ち込まない」よう、十分気をつけていると思うが、一般の人以上に、職員は意識を高めてほしい。「利用者1人につき1消毒」でなく、「1処置1消毒」の徹底を。

ある病院で昔、「手洗いができていないスタッフがいたら、詰め所に声をかけて下さい」と貼り紙をしたら、正しい手洗いが増え、手指衛生が向上したということがあった。スタッフだけで気をつけようとせず、利用者やご家族の力を借りるのもひとつ。スタッフを非難するためでなく、施設の衛生状態をより良く保つために。

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