臨床能力評価試験で過去最高成績 初期研修医が全国6位に 「総合的に診るマインド」強みに

2020.03.31
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基礎的臨床能力試験で初の総合全国トップテン入りを果たした研修医たち。着席している前列が2年目の研修医=兵庫県丹波市氷上町石生で

研修医の客観的な臨床能力を評価する「基本的臨床能力評価試験」(NPO法人日本医療教育プログラム推進機構主催)で、兵庫県丹波市の同県立丹波医療センターの初期研修医(1、2年目)の総合順位が全国539病院中で6位と、過去最高成績を収めた。2017年度から同試験に参加。総合順位は16位、20位、13位と推移し、今年度初めてトップテン入りした。全国の臨床研修病院1037病院のうち、52%が参加した。

同病院の初期研修医は1、2年次とも8人(神戸大学とのたすき掛け研修を除く)。試験日に業務の都合が付かない研修医は受験しないため、1年次が8人、2年次は4人が受験した。

厚生労働省が定める臨床研修到達目標に準拠した出題範囲の中から、マークシートで60題が出題された。制限時間は120分。

病院ごとの受験者の平均点で順位は決まり、2年次は、469病院中7位、1年次は440病院中47位だった。

特に2年次の偏差値が、67・52と高く、病院全体の成績を押し上げた。1年次だった昨年度も9位の好成績だった。

各年次とも3400人以上が受験した中で、上位50位以内に入った医師が1、2年次合わせて3人いた。

2年間の初期研修のうち、同病院では内科に重きを置くプログラムを組んでいるほか、毎朝の入院患者の症例検討で研修医が発表する。見坂恒明地域医療教育センター長(神戸大特命教授)ら上級医が「なぜ、そう考えたのか」を問いかけ、質問に答えるトレーニングを積み重ねることで、考える力を培っている。

研修医2年目の伊藤惇亮さん(26)=神戸大卒=は、新年度から東京の医療機関で内科に強い救急医師を目指す。「ここは診療科間の垣根がない上に、総合的に診るマインドを持った上級医に指導してもらえる点が、他の病院に勝っていた」と振り返った。1年目の今井貞之さん(25)=神戸大卒=は、「分からないことを上の先生にすぐに聞ける雰囲気がある。上から指示を受けるだけでなく、自分で考え、伺いを立てるシステムで、思考停止せず、常に自分で考えるトレーニングができるので、深い知識を身に付けやすい」と、同病院の初期研修の利点を話した。

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