進化する「博物館」に
丹波篠山市の旧大山保育園舎を活用したカフェと工房「monoile」を営み、今年6月には丹波市青垣町の旧神楽小学校舎を活用した「FOREST DOORしぐら」内に「木のおもちゃ博物館」をオープンした。「園舎、校舎には、たくさんの人が関わってきた歴史が詰まっている。卒業(園)生でなくても、どこか懐かしさがある。建物が自分の作品を後押ししてくれている感じがある」
大学へ進み、一人暮らしを始めてから家具やインテリアに興味が湧いた。卒業後に就職した会社が倒産。新しい仕事を探すにあたり、自分が好きなことは何かと問い直し、インテリアを販売する会社にアルバイトで入った。販売する際の知識として役立てばと、自分で木製品づくりも楽しむようになった。福知山市の職業訓練校で技術を習得。丹波年輪の里の木工指導員を経て、2011年、「monoile」をオープンした。
オーダーメイドの家具や木製雑貨に“触れる空間”と考えていたカフェに注目が集まり、皮肉にも落ち着いて家具を作る時間がなくなった。そのころ、イベントなどの際には手軽な木のおもちゃも出品していた。「子どもたちの笑顔、『帰りたくない』と泣く子…。おもちゃを介してのやり取りにしびれるものがあった」。少しずつ家具からおもちゃへと移行していった。
イベントで人気を集める大型のおもちゃも、普段は倉庫で眠っていることが多く、どうしたものかと考えていたときに青垣の廃校活用の話があった。
「一生かけて、ほかではできない体験ができる場所にしていきたい。ミュージアムをどんどん進化させたい」。43歳。