「オンライン学習」その後 海外や講師宅と結ぶ 「登校しづらい」児童との意思疎通にも/兵庫・丹波市

2020.07.21
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教室とトルコの中学生宅を結び学習する黒井小の2年生(同校提供)

新型コロナウイルスの感染拡大による休校中に始まった、パソコンやスマートフォンなどと、インターネット回線を使ったオンライン学習。兵庫県丹波市内の小学校で通常授業が再開され、ひと月がたった。いったんは身近になったオンライン学習のその後を探った。

「授業遅れ取り戻すのに全力。手が回らない」学校も

黒井小学校2年生と中央小学校2年生は、国語の授業「外国の小学校について聞こう」に活用。教師が教科書の記述内容を教える単元だが、遠隔会議ソフト「Zoom」で現地と結び、より楽しく、深く学べるよう工夫した。

黒井小はトルコ・イスタンブールの中学生と、中央小は丹波生郷国際交流協会の縁で丹波市内の学校と英語学習でつながっているオーストラリアのオークリーサウス小学校とつなぎ、児童が質問を投げかけた。日本との違いを直接現地の子どもから教わり、驚いたり感心したり、新鮮な学びを味わった。

中央小の矢持拓哉教諭は、「教師が教科書を教えるだけより、直接やりとりをした方が興味が持てるだろうと考えた。子どもたちの反応から、教材がより生きたものになったと思う」と手ごたえを感じていた。

コロナのため、ゲストティーチャーを招きづらい悩みを、南小学校はオンラインで解決。4年生の総合学習で兵庫県伝統的工芸品「稲畑人形」について学んでおり、5代目の赤井君江さん宅と結び、赤井さんから同人形の歴史や製法について教わった。

南小の児童にスマートフォン越しに自宅から稲畑人形の説明をする赤井さん(右)=2020年7月14日午後2時12分、兵庫県丹波市氷上町稲畑で

教師が赤井さん宅でスマートフォンを操作し、リアルタイムで配信される映像と音声を児童たちは教室の電子黒板で見た。色鮮やかな彩色を実演する場面もあり、児童は真剣な表情で画面に見入っていた。

学校での対面授業とオンラインを組み合わせた学習方法を試行しているのが春日部小学校。学習支援ソフト「まなびポケット」を用い、学校の授業だけでなく、放課後や休日に自宅からログインし、アンケートやクイズのほか、一部の課題に答えたりもしている。また、学級ごとにページをつくり、自分の考えを発信したり、友だちと対話をし、オンライン学習に児童が慣れるよう積極的に働きかけている。

上月明生校長は、「今年度中に全児童にタブレットが支給されるのを見据えている。使用時間などルールを決め取り組んでいる。私を含め、担任以外の教師もコメントをするなどし、オンラインならではの学習の仕方を、子どもも教師も学び、楽しんでいる」とほほ笑む。

このほか、登校しづらい、教室に入りづらいなど、自宅や保健室にいる、友達と一緒に学びづらい子とつなぎ、顔を見て意思疎通をしたり、学習支援に役立てている学校も複数ある。

一方で、「取り組みたいとは思うが、授業の遅れを取り戻すのに全力を傾けていて手が回らない」という学校もある。学年や教材によってオンライン学習に向き、不向きもある。

トルコの日本人学校に勤務中の2016年にクーデター未遂事件が起こったのをきっかけに、教え子の安否確認を兼ねオンライン学習を現地で進めた経験があり、黒井小でオンライン学習を企画した同校の細見隆昭教諭は、「コロナで一気に日本でも身近になったオンライン学習がもっと身近なもの、当たり前なものになれば。例えば博物館とつないで専門家に昆虫のことを教えてもらうといった使い方も考えられる」と話している。

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