対外信頼度向上に「JGAP」 農業版ISO取得で工程管理の証に 農業盛んなまちの2団体

2020.07.04
ニュース丹波市地域地域

「GAP」に基づき、毎朝ラジオ体操とミーティングを始めたまるきん農林=2020年6月18日午前8時22分、兵庫県丹波市青垣町中佐治で

農業が基幹産業といえる兵庫県丹波市の2団体がこのほど、食品安全、環境保全、労働安全など農業の持続可能性を確保するための生産工程管理の取り組み「JGAP」の認証を取得した。製造業のISOの農業版のようなもので、高い生産工程管理がなされている証になる。

「GAPに基づく管理は価値あり」

まるきん農林(同市青垣町、堀謙吾社長)と稲畑どろんこ会(同市氷上町、梅垣嘉位代表)の2団体。

まるきん農林は米、どろんこ会はハウスで水耕栽培するサンチェ、リーフレタス、からし菜で認証を受けた。

例えば五輪の選手村への納入には「GAP認証」が条件付けられているなど、取引先の要請で取得する法人が多いが、両者は、対外的信用を高めるとともに生産性のアップや無駄の削減につなげようと取り組んだ。

「GAP」は事業体のあらゆる事柄が審査対象になる。倉庫や事務所の片づけ、農場の管理、農産物の取り扱いといった一般的なもののほか、検査結果を提出し、水質の安全性を証明した。直接生産に関係しない、従業員の待遇や安全管理なども明文化し、具体化を図った。普通救命講習の受講も必須項目。

両者とも、コンサルタント費用と審査費用で約50万円を投資した。

約2カ月かけて審査書類をつくった、まるきん農林社員の足立雅典さん(25)は「認証機関の要求事項を自社にどう適合させ、それをどう文書で表現するか、こつをつかむまで大変だった」と言い、「毎日朝礼が開かれるようになり、先輩の動きなど、全体の作業の流れがつかめ、仕事がやりやすくなった」と、認証の効果を話す。

堀社長(52)は、「手間と費用がかかるので認証を受ける、受けないは別にしても、『GAP』に基づく管理は価値がある」と話している。

「認証」を社会的価値ととらえる

注意事項などが多く掲示されたどろんこ会の水耕ハウス。作業スタッフは朝は検温、ハウスに入る際は手洗い、マスク着用など、「GAP」に基づき、健康維持や感染症対策も行っている=2020年6月18日午前11時32分、兵庫県丹波市氷上町稲畑で

どろんこ会の経理担当の前田行雄さんは、「一般的な企業の『5S活動』がなく、何とかしたいと思っていた。誰か後継者に事業を譲りたいと考えており、認証という新たな社会的価値が必要と考えた」と言う。商品パッケージに、「GAP認証取得」と表示して販売することにしている。

認証は、2年に1度審査があるほか、1年に1度立ち入り検査もあり、遵守し続けることが求められる。

GAP(ギャップ)は「Good Agricultural Practice」の略。GAPには5種類あり、JGAP(ジャパンギャップ)は、一般財団法人日本GAP協会が運営する。より難易度が高い、GGAP(グローバルギャップ)、AGAP(アジアギャップ)がある。

関連記事