神戸市の土木建設業「HOURYU」(笹倉邦康社長)がこのほど、兵庫県丹波市立北小学校の運動場の除草作業をボランティアで行った。運動場一面にはびこった雑草を、土建業の技術を生かし、ユンボの排土板を使って地表もろとも豪快に削り取るなどし、まるで新しく造成したかのような、雑草が1本も生えていない運動場によみがえらせた。支援の背景にあったのはコロナ禍だ。
運動会の開催が迫った運動場は草にまみれたままだった。例年であれば8月中に児童と保護者が美化奉仕作業の一環で運動場の除草作業を行うが、今年はコロナ禍。「3密」を避けるため美化作業を延期していた。
「こんなときだからこそ、何かできることはないか」と思案していた同校PTA会長で、「HOURYU」従業員の鷲野光一さん(41)。新聞やテレビの報道で、丹波市内の企業数社が集まり、児童のためにボランティアで送迎バスを運行したり、草刈りをしたりしたことを知っていたことから、「コロナで仕事が減り、持て余している重機を有効活用することで地域貢献ができるのでは」と思いついた。
早速、笹倉社長(45)に相談したところ、笹倉社長自身も丹波市山南町出身であることから、「ふるさとのためなら」と快諾した。
運動場にユンボ3台をはじめ、2トン、4トン、10トンのダンプカーや、ローラー車などを投入。地表を削り取った後、土だけ元に戻して整地し、散水車で水をまき、4トンローラー車を走らせるなどして地面を固めて仕上げた。炎天下、土煙の舞う運動場に同社の従業員と教員らが共に汗を流し、従業員と教員が除草作業に精を出した。
鷲野会長は、「今年の子どもたちはコロナのせいで学校行事が何一つできておらず、かわいそう。せめて運動会だけでも気持ちよくやらせてやりたかった。運動会では子どもたちの元気いっぱいの姿を地域に見てほしい」と笑顔で話した。
自ら重機を操り、汗を流した笹倉社長は、「企業として常々、何か社会貢献ができないか、と考えていた。今回はふるさとのことなので、余計に気持ちが入ります」とほほ笑んだ。
同校の体育担当、村上健介教諭(34)は、「地域の方々が学校のこと、児童のことを大切に思っていただいていることがうれしい。気持ちの良い状況で運動会を迎えられます」と喜んでいた。