守られた軍旗 秘密裏に埋めた戦争の”記憶” 初の一般公開中

2020.11.11
歴史

初めて一般公開されている歩兵第70連隊の軍旗の一部と旗頭=2020年11月11日午前10時7分、兵庫県丹波篠山市呉服町で

兵庫県丹波篠山市立歴史美術館は、開催中の特別展の中で、旧日本陸軍の連隊軍旗を初めて一般公開している。12月6日まで。

旭日旗の一部とみられる赤と白の布地と、菊花をあしらった竿頭からなる。かつて市内に駐屯し、厳しい訓練から”丹波の鬼”とも言われた「歩兵第70連隊」の軍旗の一部。これまでは希望者にのみ閲覧を許可してきた。

終戦時、宮崎県に駐屯していた70連隊。解隊に合わせて軍旗を焼却する命令が出ていたが、連隊長らが「あまりに忍びない」と秘密裏に埋め、15年後に再び駐屯地を訪れて持ち帰った。

ありし日の軍旗の写真

同施設によると年に数回、連隊に所属していた人や家族などが閲覧を希望することがあり、軍旗を見て涙を流す人もいたという。「命令に背いて焼却せずに埋めた人は命がけの行動。連隊にいた人にとっては戦友と共に守り抜いたもので、たくさんの思いが詰まっている」と話している。

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