発熱した→自宅でまずチェック 県と医大が「シート」作成 医療機関と共有でスムーズな受診を 県内初の取り組み「市民もチーム医療に」

2020.12.18
地域

  新型コロナウイルスだけでなく、風邪やインフルエンザなども流行しやすいシーズンとなったことを受け、兵庫県丹波健康福祉事務所と兵庫医科大学ささやま医療センターによる「丹波圏域(同県丹波市、丹波篠山市)発熱等受診・相談センター」が、「発熱時相談チェックシート」を作成した。患者自身が自宅でシートに記入することで、発熱時にどの病気の可能性があるかを分類でき、よりスムーズな受診や医療従事者の感染リスク減を図る。県内では丹波圏域のみの取り組みで、全国でも珍しいという。

シートは兵庫医大地域総合医療学が提案し、両市の医師会の協力も得て作成。圏域内で、市民と医療機関が同じシートを使ってチェックすることで、スムーズな受診につなげる。5万3000部を作成し、医療機関に置いているほか、今月20日以降、両市に全戸配布する。

同センターは、「直接医療機関に出向かず、シートを記入してから電話を」と呼びかけ、「コロナのまん延を防ぐため、市民のみなさんにもチーム医療に入ってもらいたい」とする。

患者と、相談の電話を受ける医療機関などが同じチェックシートを用いることで、医療機関に出向く前に、(1)新型コロナの可能性がある(2)インフルエンザの疑いがある(3)両方の疑いがある(4)どちらでもない―におおよそのグループ分けができ、重症度の判断や緊急受診の目安を調べることができる。

シートでは、まず発熱や鼻水、倦怠感、嗅覚・味覚の異常などの症状をチェック。続いて、インフルエンザの可能性を探るため、「突然、高熱が出た」「節々が痛む」「近くにインフルエンザ患者がいて接触した可能性がある」などを記入する。

次にコロナに関連した問いで、「14日以内」に丹波地域外に出掛けたか、地域外の人と食事をしたり、マスクなしで会話したかどうか、コロナ患者との接触が疑われるかをチェック。その上で、自身や家族が高齢であるかどうかや、糖尿病、呼吸器疾患などの持病を持っているか、免疫抑制剤や抗がん剤使用の有無などを問う。クラスター発生リスクが高い医療・介護施設に勤務しているかどうかの項目も設け、これらにチェックが入った場合は、早めの受診を促す。

「緊急受診が必要な可能性」の項目では、「急に息苦しくなった」「胸の痛みがある」「突然(2時間以内を目安)ゼーゼーし始めた」「もうろうとしている」などを、「早めに受診」の項目では、「高熱(38・5度以上が3日以上)持続」「症状が4日目以降になってもよくならない」などをチェックする。

これまでは丹波圏域では、丹波健康福祉事務所に置いた「帰国者・接触者相談センター」などが相談に応じ、新型コロナの疑いがある際には医療機関などを紹介してきた。12月1日からは兵庫医大ささやま医療センターが入った「発熱等受診・相談センター」に名称を変更し、平日の昼間は福祉事務所、夜間・休日は同医療センターが行うよう、体制を整えた。

ささやま医療センターの片山覚院長は、「高齢者をはじめとする『危ない人を守る』ことが大事。市民みんなが一緒になって感染をコントロールし、コロナをリスクのある人に近付けないことが重要」とする。その上で、「感染予防は市民一人ひとりにしかできない。シートが少しでも感染予防の啓蒙につながれば」と期待。丹波健康福祉事務所は、「患者自身によるチェックのため、コロナだ、インフルだ、と決めつけず、シートをもとに医療機関などに相談してほしい。注意喚起や予防の意識付けに役立ててもらいたい」と話している。

丹波健康福祉事務所や両市のホームページなどにも掲載している。シートの使い方を説明した動画も作成している。

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