社名「おたふく」縁に崇敬 調味料の「オタフクソース」 ゆかりの”御祭神”に25年以上参拝

2020.12.11
ニュース丹波市地域地域歴史

天宇受売命の姿絵を手にする佐々木専務(右)と寄進したちょうちんを手にする山田総務部長=2020年12月4日午前10時57分、兵庫県丹波市青垣町小倉で

日本神話に登場する女神で、「おたふく」の起源でもある「天宇受売命(アメノウズメノミコト)」が御祭神の佐地神社(兵庫県丹波市青垣町小倉、武山正詞宮司)を広島市の調味料メーカー「オタフクソース」の関係者がこのほど、参拝した。社名の由来「おたふく」を縁に、25年以上参拝を続けており、今年は拝殿に吊るすちょうちんを寄進した。

創業家、佐々木家の佐々木泰平オタフクソース専務(58)と、山田貴裕オタフクホールディングス総務部長(48)が参拝し、武山宮司と懇談、寄進したちょうちんを見せてもらった。

同社は1952年に、「お多福造酢株式会社」として創業。佐々木専務によると、創業者が信心深く、世の中に広く愛されるように「お多福」を社名にした。

同社は、創業理念を後世に伝えるために、社名に込められた思いを深く探求し、世の中を明るくするのを手伝った天宇受売命を崇敬。信頼する人物から「お多福」のルーツを主祭神にまつっている佐地神社を紹介された。

絵皿に描かれた天宇受売命(アメノウズメノミコト)

天宇受売命をまつる神社は全国にあるものの、結婚相手とされる猿田彦命(サルタヒコノカミ)と一緒にまつられるなど、ほとんどが合祀で、佐地神社のように、天宇受売命一神のみを主祭神としてまつる神社は、まれ。

同社の参拝時期は、「1年のお礼」として毎年11月末から12月初旬。同神社と伊勢神宮への参拝は欠かさないという。

佐々木専務は「社名の由来になった神様にお出会いできることは純粋な喜び。古く長く、こういう環境の中で神社が保たれているのは、地域のみなさんと、神様自身の力もあるのかもしれない。長く続いているご神徳を頂くことができれば、我々の事業の継続性も生まれる」と話していた。

大正―昭和期の同神社宮司だった武山さんの祖父が遺した資料に、同神社が「天宇受売命の全国の本社」との記述がある。神社本庁(東京都)によると「本社がどこか分からない神はたくさんあり、天宇受売命もその一つ」と言う。「お参りが続き、信仰されている歴史、それ自体が価値だろう」と話している。

神話では、天宇受売命が天岩戸の前で半裸で踊り、八百万の神を笑わせたことが、天照大御神が閉じた戸を開け、世に光を取り戻すきっかけになったとされ、芸能や芸術の神ともされる。

武山宮司の父の時代には、「日劇ラインダンシングチーム」など、芸能を生業とする女性が全国各地から参拝に訪れるなど、同神社は一部では名が知られた存在。

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