「ようこそ! 丹波篠山のマチュピチュへ!」―。そんなタイトルの移住者向けパンフレットを兵庫県丹波篠山市の栗柄自治会が製作した。目を引くキャッチコピーと美しい集落の景色の写真で飾られた冊子は、自治会行事から村役の数々まで、自治会活動を端的に網羅。自治会長の西澤和也さん(66)は、「シンプルに栗柄のことを知ってほしかった」とほほ笑み、「近い将来、今の村行事が維持できなくなることは目に見えているけれど、代々住む人も、新しく来た人も、『住みよいところ』と感じてもらえるような場所にしていきたい」と話している。
現在、77世帯203人が暮らす。高齢化率(65歳以上の割合)は40%を超えており、現状の集落活動が維持できなくなる可能性が高いとされる「限界集落」(高齢化率50%以上)が目前に迫っている。
四方を山に囲まれ、修験道の地でもある静かな山村には以前から移住者があり、現在、1割ほどが移住してきた人という。
市の「住もう帰ろう運動」の補助金を活用して地域の活性化を考えており、パンフレットも同補助金を活用した。
A4判6ページの冊子。キャッチコピーに使っている「マチュピチュ」といえば、南米ペルーの標高約2400メートルにある世界遺産の空中都市遺跡。標高約300メートルと本家にははるかに及ばないものの、市内では高い土地に位置しており、西澤さんは、「(市内の)どこかの村に使われる前に使ってしまえと」といたずらっぽく笑う。
内容は写真を多用し、倶利伽羅不動での護摩法要や観音堂での数珠繰り、敬老会、栗柄ダムの見学会など、自治会の活動を紹介。ため池の点検や桜の木の防除、川の草刈りなど、集落を維持していく上で大切な事業も掲載した。行事日程のカレンダーや各種村役まで、ほぼ全ての活動を網羅。「転入届」も付けている。別冊で自治会規約や防災マップも添えた。
西澤さんは、「出身者は栗柄が大好き。1日でも長く、栗柄の空気を吸っていたい」と言い、「山奥ではあるけれど交通の要衝でもあり、昔と比べると随分住みやすくなった。パンフレットが栗柄を知ってもらうために役立てば」と話している。
200部製作。市創造都市課のほか、市民センター内の丹波篠山暮らし案内所などに置いている。