「ワクワク」で強豪校に プロ選手指導経験持つ監督就任 「甲子園目指せる環境整える」

2021.09.14
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体験入部会でジャベリックスローに挑戦する中学生=2021年8月10日午後2時16分、兵庫県丹波市春日町黒井で

甲子園に出場した経験がない氷上高校(兵庫県丹波市)の硬式野球部を強豪チームに成長させようと、新たな挑戦が始まっている。今年4月に原智徳監督(44)が就任。これまで他校の監督やコーチを務め、のちにプロ野球選手となる原石を磨くなど、特に投手の育成に定評がある原監督を慕って丹波市外から入部した部員もいる。今夏に行われた体験入部会には、県内から約30人が参加し、高い関心を示した。原監督は「氷上高野球部のテーマは『ワクワク』。選手が切磋琢磨し、丹波の子が、丹波から甲子園を目指せる環境を整えたい」と力を込めた。

原監督は姫路高、佐賀大学出身。アメリカのマイナーリーグでプレーした経験もある。日生学園第三(姫路市、現・自由ケ丘)、三田松聖で指揮を執った。三田松聖時代の2013年秋は近畿大会8強、翌14年夏には県準優勝し、甲子園に“あと一歩”まで迫った。

甲子園に出場するには何かが足りないと、16年に現場からいったん離れ、野球を外から勉強する身に。全国各地で中学生や高校生、大学生らを対象にした指導を独自で行い、計75回を数えた。その間、指導した選手の中には中森俊介投手(千葉ロッテマリーンズ、丹波篠山市出身)や玉村昇悟投手(広島東洋カープ)らがいる。

昨年4月、氷上高校に赴任し、数年ぶりに現場復帰。これまでの経験を丹波の生徒に伝えようと、選手と共に汗を流している。

投手を中心に、個性的な練習メニューを多く組む。原監督が業者と作った投球練習用具「巻き付きシャドーピッチング棒」は、長さ40―60センチほどの樹脂製の棒で、先端を持って投球動作を行う。腕をしなやかに使うことを体感し、自然と腕の振りを加速することができるようになるという。陸上種目「ジャベリックスロー」を取り入れ、力をボールに伝える感覚を養ったりもしている

原監督は「地域貢献や子どもたちのためになるチームづくりをしたい。仲間と切磋琢磨し合って自分を磨き、力が付くことはワクワクするし、甲子園を目指すこともワクワクする。みんながワクワクすることで、自然と勝つ力が付く。高校生による少年野球指導ができれば、子どもたちも夢を持つことにつながる」と話している。

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