コロナ禍の自治会活動 行事の開催・中止判断難しく 「一人暮らしのお年寄りも心配」

2021.09.21
地域

「またみんなでお酒を酌み交わせる日が来るのが待ち遠しい。自治会に対する意見や指摘がもらえますしね」と話す西潟会長=兵庫県丹波篠山市で

新型コロナウイルスの感染拡大により、生活基盤である自治会運営も密を避ける新たな方法を模索する事態が続いている。コロナ禍2年目の年度が進む中、各自治会はどんな悩みを抱えているのか。兵庫県丹波篠山市自治会長会の西潟弘会長(73)に話を聞いた。

―これまでのコロナ禍の自治会運営を振り返って

住民の中には「(人との接触を避けるために)『少人数の会合しか出ないで』と会社から言われている」という人が結構おられる。そう言われると、人が集まる催しの多くは中止せざるを得ない。

丹波篠山は農村文化が根付いているため、草刈りなどの日役だけは行うところも多いだろう。私の暮らす自治会でいうと、平時なら80%ほどの参加率がある。参加してもらえるのは本来ならありがたいことだが、草刈りは規模を縮小し、参加定員60人で募集する形を取ったりしている。美化活動のクリーン・グリーン作戦も隣保ごとに分散してやってもらうようにした。

月に1度、集まっていた役員会も中止し、特に決めることなどがない場合は、公民館に各自、市の広報紙などを取りに来てもらうようにしている。

一人暮らしのお年寄りも心配だが、感染を気にすれば訪問もできない。「心配事があれば、気軽に電話して。人と話すだけでも気が晴れるだろうから」と、自分の携帯電話の番号はオープンにしている。

各自治会の役員は何かにつけ、密になっていないか、体温計やマスク、消毒液はあるか、と細かなところまで目配り、気配りをされていると思う。

―コロナ前は、「近所付き合いが希薄になってきたからふれあいが大事だ」と、顔を合わせる機会を増やすことが求められていた

昨年から行事などが中止になることが多く、今も先が見通せない。運動会、文化祭、防災訓練など、集落によっては一堂に顔を合わせる唯一の機会だったものもあるだろう。各自治会長は、その一つひとつを開催、延期、中止の判断をしていかなければならず、大変だと思う。10人いれば10通りの考え方があり、悩ましい。

行事が2年続けて中止になると、「もうしなくてもいいのではないか」という声も出てきているのではないだろうか。私はいらない行事はないと思っている。それぞれ各集落の長い歴史の中で積み重ねられ、住民間の交流を深めてきたもの。何とか知恵を絞り、継続できないかと思う。

―これからの課題は

ワクチン接種がひと通り終わるまでは、自治会活動も様子見をせざるを得ないのかなと思っている。だからといって何もしないわけにもいかない。私の自治会では役員会をリモートでできないかと試験運用を始めている。ただ、市内では自治会の規模にも大小あり、事情も違う。自治会長会として「こうしましょう」という基本線を出すことはできないが、手軽な無料通信アプリなら活用できないかと話を始めている。

誰も経験したことがない状況で、正解がない。自治会長会としてコロナ後の自治会運営の在り方を模索するため、話し合いはしていきたい。「こんな問題に悩んでいる」「こんな取り組みをしてみたらうまくいった」といった情報交換や共有ができればと思っている。ただ、そんな話をする場さえ設けることができない難しさがある。

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