「深い世界描きたい」 丹波の古刹の破損仏題材に 西宮の洋画家、首藤さん

2021.10.20
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首藤さんの作品「化石佛」(アクリル、縦194センチ×横162センチ)

洋画家で行動美術協会会員の首藤和彦さん(75)=兵庫県西宮市=は、丹波の古刹、達身寺(同県丹波市氷上町清住)の破損仏を題材に作品を描いている。13―17日に大阪市立美術館で開かれた「第76回行動展」(関西大阪巡回展)に、同寺の仏像をモチーフにした作品「化石佛」を出品した。

国の重要文化財をはじめ、約80体の仏像を有する達身寺には、理由は定かではないが、破損仏や未完成の仏が多数収められている。

長年、仏教的なテーマの絵を描いてきた首藤さん。「年齢と共に廃仏や破損仏に心引かれるように」なり、十数年前に達身寺を知った。当時撮影した写真をもとに、現在は同寺の仏像を中心に作品を創作している。

今年の行動展出品作「化石佛」は、アンモナイト化石と仏像、火炎を描いた作品。黒色の背景とのコントラストが印象的で、「大地の底から仏様が湧き出てくるイメージ」で描いたという。「何億年もの時を経た化石と、達身寺の仏像に親和性を感じた」と話す。

首藤和彦さん

首藤さんは、「(教えは)文字で伝えることはできない」という禅宗の概念「不立文字(ふりゅうもんじ)」の世界を絵画で表現したいと考えている。「宗教的、哲学的、倫理学的に、いかに深い祈りの世界を描けるか。1枚ごとに深みに入っていけるよう念じながら描いている」と語った。

首藤さんは神戸市生まれ、西宮市在住。NHK文化センターで講師を務めている。

11月2―7日に京都市京セラ美術館で開かれる京都展にも出品する。

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