選別手間減り出荷早く JAが新設備稼働 特産の丹波大納言小豆

2021.12.11
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ごう音を響かせ稼働する丹波大納言小豆の選別設備=2021年12月6日午後1時32分、兵庫県丹波市柏原町柏原で

高度な選別調整設備が新たに導入された兵庫県丹波市のJA丹波ひかみ特産センターで、同市特産の丹波大納言小豆の選別、出荷作業が行われている。新設備の導入に合わせ、生産者の選別の手間を省く集荷方法に変更したことと、10月に雨が降らず収穫が早かったことで集荷が早まり、11月末で100トンほどの選別出荷を終えた。例年3月までかかっていた作業が、1月末ごろに終わる見通しという。生産者にとって大切な買い取り価格は、これから示される。

未熟粒を取り除く比重選別機をくぐる丹波大納言小豆

新プラントの導入で、選別作業の負担軽減と品質向上を図る。生産者で選別し、A―E等級をつけたものを集荷する方式を廃止し、整粒と不良粒の2種類に整理した。生産者は、「ネコ」と呼ばれる、カビが生え、石化した粒だけを取り除いて出荷する。生産者によって審美眼が異なることから、選別過程ではねて、販売できる小豆を廃棄していた生産者もあり、「ネコ」以外は全て出荷できる体制にすることで、JAへの集荷量を増やすとともに、生産者側でロスが生じないようにした。

比重選別機にかけ、未熟、虫食いなどを取り除き、目の粗さの異なる3枚の網を通す粒径選別機にかけ、2L、L、Mに分ける。これを新導入のフルカラー色彩選別機に通す。色の鮮やかさまで識別できるもので、小豆のサイズごとに、それぞれ「秀」「優」「良」に調整し販売する。設備の処理能力は、1時間1・5トン。実際は調整などでもう少し落ちるが、かかる人手を半減できたという。

同JAによると、「豆をよる手間がかなわない。よらなくて良いなら出しやすい」という組合員の声に応え、出しやすい環境を整えたという。

同JAは昨年度、198トンを集荷。今年度も同程度の量の集荷を期待している。

「ネコ」を取り除いただけの未選別小豆が詰まった出荷袋

選別された丹波大納言小豆は、高級和菓子の材料として京都市の和菓子店や問屋に販売される。菓子業界もコロナ禍で打撃を受けており、影響が生産者価格にどの程度及ぶかは販売の動向による。

気象庁アメダスによると、柏原の10月の雨量は42ミリで、平年の3割。乾燥が早く、収穫が早まった。

丹波農業改良普及センターによると、粒が膨らむ9月後半に雨が少なく、やや小粒傾向という。

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