画家 足立進さん(丹波市)

2022.03.06
たんばのひと

足立進さん

生活感ある風景を描く

植野記念美術館で先ごろ個展を開いた。丹波市ゆかりの美術作家を紹介する同美術館主催の企画展。今年で3回目で、市内在住の2人の大御所に続き、3人目として白羽の矢が立った。ここ20年の間に描いたアクリル画など約40点を展示。8日間の会期に700人を超える来場があり、アクリル画の描き方や透明感の出し方などの質問も受けた。「私に順番が回ってくるのが予想外に早く、おこがましく思ったのですが、会期中は、絵画に熱心な人に多く出会え、うれしかった」と話す。

小学生の頃から絵が好きで、柏原高校では美術部に所属。2年生の時に美術部OBと現役の生徒による展覧会「柏美展」が始まり、創作活動の一線で活躍する先輩から刺激を受けた。また、出身地の青垣町にある絵画グループ「三水会」の有力メンバーから勧められ、同グループの展覧会にも出展した。「学校の勉強は全然ダメでしたが、美術教育の面では恵まれた環境の中で育ちました」

もっぱら風景画を描く。土壁の家屋がある農村風景、赤くさびたトタン、水田に家屋が映っている風景など、人の生活の営みが感じられるものにひかれるという。同美術館での個展でも、但馬や丹波などで出合い、魅了された風景の作品が主だった。「大学時代は人物画ばかりを描いていましたが、モデルに気を使うので、どうも苦手です。風景だと、気を使わずに済むのでいい」とほほえむ。

柏原中学校教諭。58歳。2年後に退職するつもりという。「退職後は、山や田んぼの仕事をしながら、丹波百景、氷上回廊など、一つのテーマに基づいた一連の作品の創作に腰を据えて取り組みたい」と話した。

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