「アイガモロボ」を実証実験 水田の雑草発生を抑制 「無人で動かせるのが魅力」

2022.05.10
地域

水田に進水するアイガモロボ。泥をかき混ぜて光をさえぎることで、雑草の発生を抑制するという=兵庫県丹波市内で

東京農工大学発のベンチャー企業「有機米デザイン」(本社・東京都)が、実用化に向けて開発を進めている水田の抑草ロボット「アイガモロボ」の実証実験が、兵庫県丹波市の丹波有機農業研究会(小橋季敏会長)の会員のほ場で行われている。田植え直後から約3週間、水田に浮かべ、スクリューで泥をかき混ぜて光をさえぎることで、雑草の発生を抑制できるという。小橋会長は「無人で動かせるのが一番の魅力」と期待を寄せている。アイガモロボの発売は来年の予定。

アイガモロボは、元日産自動車のエンジニアらを中心に10年ほど前から開発が進められてきた。動力源は、ロボに搭載したソーラーパネル。全地球測位システム(GPS)と連動した専用のアプリで移動範囲を設定すると、碁盤の目のように動き回る。スマホなどで、作動状況を確認できる。大きさは、90センチ×120センチ、重さ約12キロ。

有機米デザインは井関農機と提携しており、今年、丹波市を含む全国33都府県で200台の無償実証実験を実施している。井関農機と同研究会が半年ほど前、有機農業に関する情報交換会を行ったことがきっかけで、実証実験が実現した。

丹波市内の春日、市島、氷上の各地域にある同研究会員のほ場4カ所で実施。4月下旬―5月中旬に、時期をずらして田植えをし、抑草効果を確かめるという。

春日町中山の小橋会長の水田でこのほど、アイガモロボの説明会と進水が行われた。ロボ開発者の中村哲也さん(有機米デザイン取締役)、井関農機の三輪田克志部長らが訪れ、同研究会の会員らに注意点などを伝え、効果などのフィードバックの協力を求めた。

アイガモロボを正常に動かすには、▽ほ場が均平▽15センチ、3葉以上の元気な苗▽最低水深3センチ以上をキープすること―などが求められるという。

有機米の需要は年々伸びているが、除草にかかる労力が大きな課題。小橋会長は乗用除草機で3、4回除草しており、アイガモロボと除草機を組み合わせて使うことを検討。「除草機を使う回数が1、2回で済めば、作業時間も燃料代も助かる」と話していた。

関連記事