「足立さん」集まれ 全国に呼び掛け 「鎌倉殿の13人」ちなむ

2022.05.03
地域歴史

遠元ゆかりの天福寺を訪れた足立喜信実行委員長(左)と安田英樹副実行委員長。実行委員も13人を予定=2022年4月28日午後4時45分、兵庫県丹波市青垣町山垣で

NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」で、源頼朝を支える御家人の1人として描かれている足立遠元の孫、遠政が扶植したことで、800年たった今も「足立姓」が多い兵庫県丹波市青垣町遠阪地区が、先祖の遠元、遠政にちなみ「全国の足立さん集まれ祭り」を11月13日に開く。来月から地元で先祖の理解を深める講演会、現地見学会などを開いて気運を高め、祭りで各地の「足立さん」との交流を目指す。

遠政が1209年、鎌倉幕府から佐治庄の地頭頭に任命され、山垣城を築いたのが、「丹波足立」扶植の始まり。足立氏は、武蔵国足立郡(東京都足立区、埼玉県北足立郡辺り)を所領としていた。遠政は青垣地域にいくつも出城を置き、一族を配置。生活のために帰農した武士が「名字を持った農民武士」、やがて農民になり、足立姓が広がった。

妙法寺(同町小倉)前住職の竹内正道さんの著書「家族の源流足立氏ものがたり」によると、足立姓は東海地方、山陰地方、九州地方に偏在している。福知山鉄道病院長だった安酸睦博氏は、足立氏のほとんど、約95%は遠元を遠祖としているとの研究を残している。

「丹波のくそ足立」とやゆされるほど丹波市に足立姓は多く、特に旧青垣町に集中している。中でも、本城が築かれた遠阪地区は、足立姓が、旧遠阪小学校(2016年度末で閉校)の明治37年度(1904)から閉校までの全卒業生4016人中、2364人、44%を占めた。

先祖が大河ドラマに登場し、世間の関心が集まっているうちに、山垣城主の遠政を全国に広め、全国の足立さんと交流しようと企画。自治協議会内に実行委員会を設けた。

地元の機運醸成が大切と、6月、住民説明会と講演会、史跡巡りを企画。同地区の歴史研究会「遠坂村探究会」の講演を聞き、遠元の供養塔、遠政が遠元の菩提寺として建立した天福寺などを巡る。7月は、青垣住民センターに神戸大学大学院から研究者を招く。

足立喜信実行委員長(65)が今月、調査とPRを兼ね、埼玉市の足立神社、桶川市の足立遠元館跡や市役所を訪れる。

祭りに向け、遠元、遠政の看板設置、プロモーションビデオの作成などを考えている。祭り当日の内容は、これから詰める。「足立姓」の著名人を招くことなどを考えており、各地の足立さんに来場を呼び掛ける。

探究会の活動で、遠政は調査が進んでいるが、丹波に赴任せず、鎌倉幕府で活躍した遠元は全国的に名が通った武将で、遠阪では近年、深く掘り下げてこなかった。足立実行委員長によると、山垣集落の秋祭りで今も「遠元神社」ののぼりが出ており、かつては丁重にまつられていたことがうかがえるという。

足立実行委員長は「歴史に詳しい方が亡くなり、われわれも分からない、知らないことが増えてきた。先祖の再顕彰を通し、全国の足立さんとつながるきっかけにしたい」と話している。

情報は、遠阪自治協議会の「フェイスブック」ページなどで発信していく。

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