「これは便利」 自治会の回覧板にLINE活用 お知らせ・連絡ワンタッチで

2022.08.25
地域

下立町が活用している公式LINEによる回覧板の画面

毎月、自治会内で回される「回覧板」について、兵庫県丹波篠山市の下立町自治会は、無料通信アプリ・LINEを活用した「デジタル回覧板」を導入している。自治会の公式LINEに登録すれば、お知らせなど実物の回覧板と同じ内容が見られるほか、自治会長などの主な連絡先もタッチ一つで表示可能で、天気情報まである優れもの。自治会役員が手掛けているため費用はかからず、「これは便利」という声が上がっている。

複数人が登録してアプリ上で会話する「グループトーク」と違い、公式版(1000通まで無料のプラン)のため、画面下部にパネル型の「リッチメニュー」を設定可能で、▽お知らせ▽町内カレンダー▽回覧板・配布物▽主な連絡先―など6つのメニューボタンを置いている。

自治会からのお知らせなどはスキャンしてデータ化しているほか、市の広報誌やごみの出し方、行政への各種申請などは、市のホームページに誘導している。

主な連絡先は自治会長や会計、神社の氏子総代などを設定しており、電話帳で調べなくてもすぐに連絡することができる。また、「Yahoo!」の天気・災害情報に飛ぶメニューもある。

現在、約50軒のうち38軒が登録。自治会行事の写真をアップすることもあり、デジタルならではの便利さを享受している。

通常の回覧板はこれまで通り併用しており、自治会のお知らせや予定、役員会の報告などのほか、市の広報誌などA4判の紙や冊子を組ごとに配布し、内容を確認した人は決められた次の家に回している。

自宅で管理画面を操作する圓増さん。瞬時にデジタル回覧板が配布される=兵庫県丹波篠山市下立町で

「スマホを持っている人のほとんどがLINEを使っていて、普段の連絡や飲み会の誘いなどはLINEなのに、回覧板だけが実物を持って回っていることに気が付いた」と話すのは、導入を手掛けた副自治会長の圓増亮介さん(63)。紙のお知らせは各家の分を用意していないため、内容を覚えておくには写真を撮ったり、スキャンしたりと手間があった。なるべく紙を使わないペーパーレス化の時代でもあり、「データがあればいいし、多くの人が使っているLINEが使えるのではと考えた」。

また、コロナ禍もあり、なるべく対面を避けることや、複数の人が触った回覧板を回すことにも課題を感じていたという。

なるべく内容を絞った使いやすいものにして、今年6月からスタート。「登録してもらうためのQRコードは紙で回覧した」と笑いつつ、「今では紙の回覧板が届く前に内容を知っている人がほとんど」と言う。

紙の回覧板は、住民同士の見守りやコミュニケーションにも役立つとされるが、「持って行ってもほとんど留守」と苦笑し、「一人暮らしの人など、コミュニケーションは大切。でも、回覧板とは別で考えたらいい」と話す。

運用を始めてから、約2カ月がたった。「これからもみんなの声を聞きながら活用していきたい」と言い、「とても便利なので、他の自治会でも取り入れてみては。役員でできなくても、自治会の中にはできる人がいるはず」とお勧めしている。

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