心豊かにする音楽を
兵庫芸術文化センター管弦楽団(PAC)に所属。世界的指揮者・佐渡裕さんから指導を受けており、「音楽に対する熱さや姿勢、深い知識と経験からか、佐渡さんが振ると不思議とオーケストラが『鳴る』。若手のアカデミー的な要素もある楽団なので、細かく指導もしてくださり、とても良い経験になっています」と充実した表情を浮かべる。
母の影響で小学6年生からフルートを始めた。篠山鳳鳴高校3年の時には、「全日本学生音楽コンクール」の大阪大会で1位、全国で3位という成績を残した。
その後、東京音楽大学に進学。卒業後、オーストリアのウィーン国立音楽大学でさらに技術を磨き、「フリードリヒ・クーラウ国際フルートコンクール」で1位を獲得するなど、気鋭の音楽家として活躍し、2019年、PACに入団した。
直後に待っていたのはコロナ禍。演奏会がなくなっただけでなく、仲間とも対面で音を合わせられない。学校の授業では「音」を出すことが控えられた時期もあり、「音楽はどうなるんだろう」と、先の見えない不安に悩んだ時期もあった。
だからこそ思う。「音楽を聴いて涙を流す人もいるくらい、心に触れ、心を豊かにしてくれる大切なもの。そして、演奏を見てもらえることがいかにありがたいことか」
今月21日午後6時半からは、田園交響ホール(丹波篠山市北新町)で佐渡さん指揮による公演が控える。ブラームスの「交響曲第1番」では、フルートの見せ場もあり、「丹波篠山で育ち、世界にも少し飛び出した者がどんな演奏をするか、ぜひ見ていただけたら」と来場を呼び掛けている。31歳。