日本六古窯の一つ「丹波焼」の素晴らしさに感動し、当時廃窯となっていた篠山藩主のお庭焼「王地山焼」にも関心を示して陶工を志した初代静斎(本名・静治)。京焼の大家・高橋道八に師事し、京都で修業した後、大正3年(1914)に丹波篠山市西町の生家で初窯を出し、篠山焼と称した。
大正8年(1919)には、農商務省主催の博覧会で優等賞を獲得するなど優品を多く残したが、大正11年(1922)、病のため32歳の若さで早世した。
初代の没後、父の源太郎が息子の残した篠山焼を守るため、66歳で陶工となり、2代目静斎を継承。昭和10年(1935)に逝去するまで陶芸を続けた。その後、継承者がなかったため、篠山焼は2代で途絶えた。
特別展では初代、2代目の作品など79点を展示。初代の代表的な作品「象嵌雲鶴文壺」など、味わい深い篠山焼が並ぶ。
また、初代が京都で修業中、父に宛てて生家で築窯する旨と設計図を記した手紙や、初代の妻の手記などもあり、人柄や陶芸に対する熱い思いも知ることができる。
初代が祖父の今村俊明さんは、「没後100年を迎え、このような貴重な機会をいただけたことは身に余る光栄。静斎父子も喜んでいると思う」と感謝している。
関連イベントとして、22、29日、11月26日の午後1時から同施設を出発し、青山歴史村(同市北新町)で篠山焼を使った茶席を楽しみ、生家「陶々菴」を見学するなどのウオーキングツアーを開催する。事前申込制で各回先着10人。参加費は1人1500円(施設入館料は別途必要)。
会期中、歴史美術館では篠山焼を販売している。月曜休館。