プロ・アマ不問の全国公募展「第34回丹波の森ウッドクラフト展(木のおもちゃ大賞展)」のジュニアの部(実行委員会主催)で、兵庫県丹波市立南小学校6年生の大森春菜さん(12)が、4回連続でグランプリ(文部科学大臣賞)に輝いた。今回、一般の部で母の恵さん(53)もグランプリを獲得しており、親子そろっての栄冠。春菜さんは「4回はないと思っていただけに、受賞の知らせに聞き間違いかと思った。すごくうれしい」と喜び、「来年はからくりの仕掛けがある作品に挑戦したい」と話している。全ての応募作品(75点)の展示と、前回の一般の部グランプリ受賞者による個展を今月30日まで丹波年輪の里(同市柏原町田路)で行っている。
大森さんの「時代すごろく」と銘打った作品は、奥行き111センチ、幅148センチと巨大で、製作に4カ月かけた。旧石器時代から現代までの日本の歴史をジオラマで表現。旧石器からスタートし、現代をゴールとしたすごろくも楽しめる。
37センチ四方のコンパネの上に各時代の特徴や出来事を表現。2個の木玉を接着して作った高さ2ー3センチの小さな人形約240体を各所に配置し、にぎわいを与えている。各時代の12枚のコンパネを組み合わせることで日本が歩んできた歴史が一望できる。
縄文時代のジオラマでは、稲わらで竪穴住居を、鎌倉時代では、北条時宗の軍が侵攻してきたモンゴル帝国軍と戦う元寇のシーンを表現。江戸時代では、大きな城の城内に殿様や姫様、侍、忍者を配置し、その麓に広がる城下町には、薬屋、うどん屋などの店が建ち並び、活況に沸くまちの雰囲気を見せている。
電気が通った明治時代では、スイッチを入れると街灯がともる仕掛けも。レンガ倉庫や蒸気機関車も見て取れる。
城の部品点数が多く、組み上げるのにくたびれたと言い、また、今回初めて糸鋸で部材を斜めに切ったり、電気を点灯させるための配線に苦労したりしたという。
昨年、買ってもらった日本の歴史の学習漫画を読み、今作のアイデアが浮かんだ。
親子そろってのグランプリに母・恵さんは「そうそうあることではないのでうれしい。作品を通じて春菜の頭の中の世界観が垣間見られ、大人にはない発想にも触れることができ、見ているのが楽しい」とほほ笑んでいる。
審査した玩具作家の濱田昭文さんは、「圧倒的なスケールの大きさはもちろんのこと、作品全体がうまくまとめられていて、細部まで丁寧に作られている」と講評している。