秋の味覚フェア「楽市楽座」(同実行委員会、草山郷づくり協議会主催)が、16日午前10時半―午後4時、兵庫県丹波篠山市遠方のアルパインローズ・ビレッジ跡地で3年ぶりに開かれる。同市西紀北地区の農家が丹精した旬の野菜を販売。26回目の今回は、授業の一環で同地区と縁ができた神戸大学の学生が企画運営に関わり、若者ならではの力と発想でイベントに新たな風を吹かせる。同協議会の山崎義博会長(71)は「お年寄りから子どもまで一緒に楽しんでほしい。草山の秋を五感で感じて」と来場を呼び掛けている。雨天決行。
同地区内の全4自治会や同協議会、大谷にしき荘、西紀北小学校、神戸大など約15ブースが出店予定。
黒枝豆を中心に、松茸や栗、焼き芋といった秋の味覚や新米などを販売。豚肉や野菜をみそで炊いた楽市楽座の名物「にしき鍋」と、ゆでた黒枝豆のセットも提供する。ハーブなどの植物を使ったアクセサリーやバスソルト(入浴剤)も並ぶ。
くじ引き「ラッキードロー」のコーナーも。外れなしで、丹波篠山牛(1万円相当)や同地区のレストランで使える食事券などが当たる。
ステージには、市内のバンドやフラダンス、エイサーのグループのほか、神戸大、神戸薬科大の音楽サークルなど計6グループが出演する。
企画運営に関わる学生は、昨年度、同地区が受け入れ先となった神戸大の授業「実践農学入門」で、楽市楽座を盛り上げる方法を考えた3人。「楽市楽座を運営する人手が足りていない。若い人が来てくれたら良いのに」という受け入れ農家からの声がきっかけだった。看板設置への協力や学生が開発する商品販売などを提言。その内容は、学生でつくる全15班の提言の中から、受け入れ農家14軒が参加した投票で最優秀賞に選ばれた。
地元住民から支持されたアイデアを実践しない手はないと、今年度に実践農学を選択している3人も加わり、2年生計6人で「楽市楽座プロジェクト」を立ち上げた。
これまでの歴史の中で初めて設定されたキャッチフレーズは「鞘を破れ!」。看板商品の黒枝豆のさやと、「殻を破る」を掛け、「今までにない祭りを」という思いを込めた。
学生らは、開催に向け、40代の若手を中心に構成する同協議会企画部会(中井雅人部会長、14人)の部会員を交えて毎月行われるミーティングに、6月からオンラインで参加。
ステージでは、若者向けにと大学の音楽サークルに出演を依頼。学生が司会も務める。ラッキードローの景品は神戸大グッズを取り入れるなどし、バリエーションを増やした。レジンアクセサリーやハーバリウム、バスソルトなど、同地区の自然の恵みを生かして開発した商品も販売する。
学生がイラストを描き、ポスターのデザインも一新。同地区へ直接足を運び、各所に設置する看板やのぼり旗の準備作業も手伝った。
「学生の熱意は確実に伝わっている。地元も彼らと一緒にやっていこうという思いと、やる気が強くなっている。例年以上に実行委員会の出席率が高く、コロナ対策などの意見も多く出た」と山崎会長。「若者と交流することで、こちらが元気をもらえている。楽市楽座をなぜするかという原点に帰って、人と人とがつながり、草山を盛り上げたい」と意気込んでいる。