樹齢1300年の「乳の木さん」 隠れイチョウの親木説も

2022.11.27
たんばの世間遺産地域歴史自然

山中にひっそりそびえる大イチョウ。主幹に雷に打たれたとみられる焦げ跡があるが、焼失を免れ、威容を見せている=兵庫県丹波市青垣町大名草で

当たり前にありすぎるけれど、住民が大切にしていきたいもの「世間遺産」―。丹波新聞では、兵庫県丹波地域の人や物、景色など、住民が思う”まちの世間遺産”を連載で紹介していきます。今回は丹波市青垣町大名草自治会にある「大イチョウ」です。

黄葉の見頃は、里のイチョウが散った後、11月下旬―12月初旬。天正5年(1577)、明智光秀の丹波攻めに遭うまで常瀧寺があった山中の寺跡にひっそり立っている。

周囲のスギ、ヒノキに埋もれ、長く巨木の全体像を見ることができなかったが、「日照不足は悪影響」と専門家の指摘を受け、平成29年度(2017)に周囲のスギを伐採し、太陽光を当てる樹勢回復治療が行われた。周りが開けたことで、黄金色に輝く本来の姿が現れ、「絶景」と近年、脚光を浴びている。

周囲のスギが伐採され、全容が見えるようになった

養老年間(717―724年)に同寺開基の法道仙人が植えたと伝わり、推定樹齢1300年とされる。幹回り11メートルの近畿最大のイチョウ。大正14年(1925)、県天然記念物指定。枝から垂れ下がる気根の様から、地元では「乳の木さん」の愛称で親しまれている。

国内のイチョウの巨樹のDNAを調べた徳島大学の研究者により、鎌倉幕府三代将軍源実朝が暗殺された源氏ゆかりの鶴岡八幡宮(鎌倉市)の「隠れイチョウ」 (樹齢約1000年)と同じタイプと分かっている。大イチョウの方が樹齢が古く、「隠れイチョウの親木説」を唱える人もある。大イチョウは雄の木。雌の木が同寺境内にあり、歳暮のお返しに、檀家にギンナンが配られる。

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