田舎でeスポーツを IT会社が専用スペース開設へ 「楽しみながら学びを」

2022.11.24
地域

eスポーツ専用スペースとなる一室に、ゲーミングパソコンなどの充実した設備をそろえ、利用を歓迎する若手社員たち=兵庫県丹波篠山市西新町で

兵庫県丹波篠山市にあり、ウェブサイト制作などのIT事業を手掛ける会社「いなかの窓」が12月、コンピュータゲームをスポーツ競技と捉えるeスポーツの専用スペースを開設しようと、準備を進めている。ゲームを通じ、子どもにはコミュニケーション能力や問題解決力などの社会で必要な力の育成に、シニア世代には認知機能の向上につなげてもらう。目指すのは、「部活のような感覚で通えて、楽しみながら学びを得られる場」。同社代表取締役の本多紀元さん(33)は「eスポーツの特性を生かし、地域活性化につなげたい」と意気込む。

専用スペース名は「いなかのe―sports部」。イベントスペースとして利用していた同社事務所内の一室(約25平方メートル)を利用する。

映像処理に優れた6台のゲーミングパソコンを並べ、長時間座っても疲れにくい専用の椅子、ヘッドセット、コントローラーなどを用意。本多さんや、ゲーム好きの同社若手社員が指導する。

年代ごとに▽小学生(4―6年)▽中高生▽シニア(60歳以上)―の3部に分かれて活動する。活動は2時間と決め、節度を守る。

活動日は、小学生の部は火、木曜、中高生の部は月、水、金曜。いずれも放課後の時間帯の午後5―7時に設定した。「エイペックス」「フォートナイト」「ヴァロラント」といったシューティングゲームをする。小学生は、建築要素を含む冒険ゲーム「マインクラフト」もプレーする。

ヘッドセットを着け、協力しながらプレーする社員たち

プレー前には、参加者が目標設定や自己分析を行う。その結果を踏まえた上で、チームで戦略を練り合う。本多さんによると、問題解決力や感情制御力など、数値で測れない「非認知能力」を身に付けるのに役立つという。

シニアの部は、平日の午前、午後にそれぞれ活動時間を設ける。操作が比較的単純なパズルゲーム「ぷよぷよ」のプレーを考えている。素早い頭の回転や指の動きが求められ、仲間とゲームを楽しむeスポーツは、シニア世代には認知機能向上や孤立防止などの効果が期待できるとされ、近年注目が集まっている。

同社はeスポーツの大会を今年8月に初開催。反響は大きく、人気の高まりを改めて実感した。ゲーム好きでIT技術に精通する社員が多く、経済、交流の両面から地域活性化につながる場をと、スペースの開設を思い立った。

幼い頃からゲームに親しんできた本多さん。「どうすれば効率良く物事が進むかを考える力や、負けず嫌いな根性が養われた。ゲームを通じて友だちもできた。今に役立っていることは多々ある」と話し、「初心者でも大歓迎。eスポーツの楽しさに触れてほしい」と、気軽な利用を呼び掛ける。

利用料金は月額8800円(税込み)。無料体験会も実施する。

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