親鶏と「赤ちゃん卵」で缶詰 スープとカレーを発売 養鶏場のフードロス防ぐ

2023.01.02
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親鶏と赤ちゃん卵を使った、初の自社加工品「HALL・IN・ONE・EGG」を手にする山忠商事の山本社長(右)と、「せせらぎ」卵を手にする村上養鶏場の村上社長=兵庫県丹波市春日町柚津で

畜産用飼料や鶏卵、農産物などを扱う会社「山忠商事」(兵庫県丹波市柏原町南多田、山本忠弘社長)が、卵を産まなくなった親鶏と、若鶏が産む流通規格に合わない「赤ちゃんたまご」と、丹波、但馬地域の食材を使った缶詰「HALL・IN・ONE・EGG(ホールインワンエッグ)」3アイテムを24日、装いを新たに新発売した。商品価値が低く、低価格で取引されている食材に光を当てた。「一羽、一個も無駄にせず、最後までおいしく頂くことが大切という思いで開発した」と、養鶏場のフードロスを防ぐエシカル(倫理的)な商品として売り出す。

同社は、取り扱い品目の一つ、鶏卵を村上養鶏場(同市春日町柚津、村上康充社長)から仕入れており、同農場の親鶏と赤ちゃん卵を使った。

親鳥のしっかりした味と噛むほどにうまみがあふれる「赤ちゃんたまごと親鶏のスープ」、兵庫県丹波篠山市産の住山ごぼうの香りと歯応えが特長の「住山ごぼうの黄キーマカレー」、同県養父市特産の朝倉山椒を使い、黒ごまペーストで黒く色づけした「朝倉山椒の黒キーマカレー」の3種。スープはぶつ切り、カレーはミンチの鶏肉入り。カレーは23種のスパイスで調味。製造は京都府内で行っている。

宮崎県では炭火焼きで好まれる親鶏だが、全国的には肉が固く、市場価値が低い。若い雌鶏が産卵を始めてから3週間程度の間、卵1個が四十数グラムと、市販される一般的な鶏卵(60―70グラム)より小さく、規格外品として低価格で業者に販売し、調味料の原料などに使われるしかなかった。

商品の1つ、スープ

これらを有効活用しようと、創業50年の山忠商事が初めて加工品開発に乗り出した。専門家と社員でレシピを開発。地元の食材と組み合わせることで、他との差別化をはかった。昨年にスープの缶詰を開発し、今回、新たに2つのカレー缶詰を開発した。災害への備蓄食料としての利用も視野に入れている。

スープ1個とカレー2種の詰め合わせ3000円(税込み)。天然ハーブを配合したこだわり飼料で育て、ビタミンEが普通の卵の10倍以上の高級卵「せせらぎ」6個入りと缶詰1個のセットが1700円(同)。

村上社長(74)は、「少しでも多く缶詰に使われ、売上に貢献してくれたら。いろんな畜農作物を扱っている山忠商事なので、多様な商品展開ができるのでは」と期待を語る。山本社長(56)は「これまでの取引先に加え、加工品を持つことで新たな販路を開拓し、村上養鶏場さんに還元できれば」と話している。

山忠商事氷上支店で販売する(月―金曜の午前9時―午後5時)。

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