校長先生の卒業式 退職前に児童が企画 サプライズに「一生の思い出」

2023.03.20
地域

卒業証書を手に、花道で大量の花吹雪を浴びながら式典会場を手にする浅田尚克校長=2023年3月20日午前9時31分、兵庫県丹波市氷上町石生で

「毎日笑顔でありがとう」―。兵庫県丹波市立東小学校で20日、児童のサプライズ企画「校長先生の卒業式」があった。今月末で定年退職する浅田尚克校長(60)に、卒業証書を手渡し、「呼びかけ」で感謝の言葉を贈った。花道で大量の紙吹雪を浴びた浅田校長は「ほんまにありがとう」と、声を張り上げた。

6年生(52人)の卒業に向けたプロジェクトの一つ。教科書では学ばない「協力して、人に喜んでもらう」を、学ぶ機会にした。

鼓笛隊の演奏に迎えられ花道を歩く浅田校長

卒業式のリハーサル中に、5年と6年の担任が喧嘩を始めたと、児童が校長を体育館に連れ出した。扉を開けると目の前に児童が作る花道が伸び、同小伝統の鼓笛隊が奏でる「聖者の行進」が高らかに鳴り響いた。檀上には自身の似顔絵と「4年間ありがとうございました」の横断幕、壇上に1つだけ置かれた椅子に、全てを理解した浅田校長は、「えーっ!!!」「もー!!!」と、驚きと安どの入り混じった大きな声を上げ、壇上に登った。

児童代表が卒業証書を授与し、1-4年生はビデオでメッセージを寄せた。「毎日笑顔でいてくれてありがとう」「読み聞かせをしてくれてありがとう」と、元気いっぱいに感謝の言葉を伝える児童の姿に、浅田校長が目頭をぬぐう一幕も。

5年生はエールを送り、6年生は「校長先生にとって最後の卒業生として、お疲れ様といえるのは、私たちです。とても特別な感じがして、うれしいし、さみしいけれど、さみしくないような気がします」「これからもニコニコ優しい校長先生でいて下さい。本当にありがとうございました」と、はなむけの「呼びかけ」を披露した。

浅田校長は思いがけない退職祝いに、「びっくりして頭の中が真っ白になった」と言い、「学校教育の主人公は子どもと、支える先生。僕の立場は、陰で支えることと今日までやってきた。最後にステージに立たせてもらい、子どもと先生に感謝。一生の思い出にします」と、喜びをかみしめていた。

児童の卒業式は、23日におこなわれる。

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