県立コウノトリの郷公園長 久下隆史さん(丹波篠山市)

2023.05.07
たんばのひと

久下隆史さん

新たな課題へ経験生かす

4月に県立コウノトリの郷公園(豊岡市)の園長に就任した。任期は2年で、週2日の非常勤嘱託職員。専門は民俗学で、長年、社会科の高校教諭を務め、2010年、北摂三田高校長を最後に退職した。「73歳にもなって仕事が来るとは思わなかった。県教育委員会社会教育文化財課時代に公園の基本構想作りに携わったり、但馬文教府長を務めたりしていたこともあるので但馬地区とは縁が深い。コウノトリの研究者ではないが、経験や人脈を生かして、円滑に事業を進められる環境をつくりたい。いわば、明るい職場づくりを進めたい」

1989年、兵庫県と友好・姉妹提携していた露・ハバロフスクから贈られたコウノトリからひなが誕生して以来、全国で約300羽が確認されている。「課題は、遺伝的な劣化を及ぼす近親交配を避けるための個体交換。国際情勢や検疫の問題で個体交換がしにくくなっている。また、どんどん頭数が増えるとそれを喜ばない人も出てくる。どの段階で次の展開を考えるか。グランドデザインの一部見直しを検討する時期にある。地域社会でコウノトリの野生復帰を理解していただくことの取り組みを支援したい」

篠山鳳鳴高卒業後、歴史が好きで関西大文学部史学科に進学。民俗学にはまった。高校教諭として、篠山産業丹南分校や篠山鳳鳴でも教鞭を執った。昨春、教育や教育行政に尽力したとして、瑞宝小綬章(叙勲)を受章。丹波市、高砂市の文化財審議委員を務める。「『村落祭祀と芸能』を発刊した1989年以降の論文や調査報告書など、書きためているものをまとめるのが目標」。73歳。

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