「愛宕祭」規模縮小 コロナ後4年ぶり開催 伝統の造り物も数減らし継続

2023.07.16
ニュース丹波市地域地域

愛宕祭のポスターを手にする実行委員会の後藤正義副実行委員長、村上豊実行委員長、小南慎一副実行委員長(左から)。ポスターのメイン画像も花火から造り物に変わった=兵庫県丹波市氷上町成松で

兵庫県丹波市を代表する夏祭り、同市氷上町成松市街地で行われる「愛宕祭」が8月23、24の両日、4年ぶりに開催される。コロナ禍を機に、厳しい経済情勢と少子高齢化による祭りを担う住民負担を直視し、事業費を圧縮し、住民の労務負担を軽減した持続可能な祭りとする。呼び物の一つ、打ち上げ花火は予算を削減。およそ220年の伝統の「造り物」奉納は、コロナ前より数を減らし継続する。「コロナ前と同じに、との期待に応えるのは難しい。今後も祭りを続けるための選択。できるだけのことをする」と、コロナが見直し機会になったとプラスに捉え、関係者は準備を進めている。

コロナ前の2019年、1600万円程度だった全体予算を500万円程度圧縮する。収入は、中央地区自治振興会、成松連合区、中兵庫信用金庫、JA丹波ひかみからの奉賛金、氷上町中央地区内外の企業からの協賛金、同地区の賛助金、市観光協会からの補助金、露店の出店料と繰越金。協賛金が集まりにくくなっているほか、住民が祭りのために負担する奉賛金、賛助金もこれまで通り負担をお願いするのは難しいとして減額し、祭りをやや小ぶりにすることにした。

1919年に始まったとされ、「三丹随一」と豪勢さを誇った花火は、19年の6割の300万円程度の規模になる見通し。打ち上げ場所は、以前と同じ、市シルバー人材センター(同市氷上町氷上)近くの加古川堤防。

金銭的負担だけでなく、人的労務負担も減らす。交通整理に当たるガードマンを増員し、各自治会からの出役の人数を減らす。

11自治会が奉納していた一つの材料で世相を表す立体の人形や建物をつくる「造り物」(丹波市指定文化財)は、奉納する自治会を6に減らす。自治会構成戸数の違い(中町は12戸、西町は65戸)により、制作当番が2年に1度回ってくるところと5年に1度のところがあり、5、6年に一度の巡りに再編した。

11自治会を6ブロックに分け、ブロックの中で担当組が奉納する。合同制作でなく、当番組がつくり、地元公民館に展示する。当番の巡りが遅くなり、非番の年は、お盆や祭りをゆっくり過ごすゆとりが生まれる。関西大学生の奉納は変わらず続け、造り物は計7つ。

また、23日に行っていた中央地区踊り保存会の丹波市音頭の練り込み、青少年健全育成パレードと演奏会、23、24日の盆踊り大会はやめ、やぐらを設けない。

中央小学校運動場にトラックを利用したステージを設け、約100店の露店は同小運動場に集める。成松センター通りは軽トラ市を開く。

村上豊実行委員長(中央地区自治振興会長)は、「五穀豊穣や火難避けの願いを込め、先祖から受け継いできた祭りを止めることはできない。地元住民が大きな負担感を感じることなく、続けていける形を考えた。今年のやり方がベストで完成形かどうかは分からない。やってみて、より良くしていけばいい」と言い、成松造り物保存会の荻野隆司会長(成松連合区副会長)は、「負担感を減らすことに異論はなかった。今年も観客が投票できるスタンプラリーをするので、参加してもらえれば」と語った。

江戸時代中期の飢饉や大火をきっかけに京都の愛宕神社に詣で、分霊を勧進。甲賀山公園内にある愛宕神社の大祭が、同祭り。

 

関連記事