兵庫県丹波篠山市川原の住吉神社で29日に営まれる「水無月祭」の本宮に向け、打ち込みばやしを奉納する4集落の氏子たちが夜な夜な演奏練習に励んでいる。集落の公民館からは笛や太鼓、三味線などの音色が響き、祭りの日が近づいていることを知らせている。
コロナ禍が影響して4年ぶりの開催。川原集落では、打ち込みばやしの担当10人のうち、森田忠さん(71)と息子の真也さん(43)、真也さんの娘の芽衣さん(15)、あもさん(12)が家族3世代4人で参加する。
芽衣さん・あもさん姉妹は、祖父や父、村の先輩たちが奏でる歌舞伎の演目「京鹿子娘道成寺」の長唄「ただ頼め」に合わせて、ばちを手にした腕を頭上に上げたり、左右に振ったりするダイナミックな所作を繰り返しながら太鼓を軽快にたたく。
芽衣さんは、「中学生は何かと忙しいのに、正直、大変なことになったと思った」と笑い、「打ち込みばやしは楽器の数が少ないが、華やかに聞こえるから不思議。たくさんの人に聞いてほしい」と意気込んでいる。あもさんは、「芽衣ちゃんが一緒なので心強い。初めての打ち込みなので頑張らないと」とにっこり。
真也さんは、「わが子や家族そろって共演を、という夢が実現した。最初で最後になるだろうこの時間を大切にしたい」と話す。忠さんは、「伝統を息子が引き継ぎ、孫たちも続いてくれた。うれしい限り。今年は、より一層気合が入っている」とほほ笑んだ。
当日は午前7時45分から御旅行列(神幸祭)。午後6時20分に宮入。同7時40分から打ち込み奉納を行う。