新ブランド立ち上げ 国内唯一の自転車用錠前メーカー 売り方見直しイメージ一新へ

2023.07.24
丹波篠山市地域注目

新ブランド「TAMBAR」の商品を手にする大沼部長。裏にあるのは「クデジュー」を使った陳列棚=兵庫県丹波篠山市今田町木津で

自転車、バイク用ロックなどを製造、開発している株式会社「ニッコー」(兵庫県丹波篠山市今田町木津、千種亨代表取締役社長)は、新たにブランド「TAMBAR(タンバー)」を立ち上げ、第1弾としてワイヤーロックやチェーンロックなど17アイテムを展開している。既存商品にブランドロゴを入れてイメージを一新し、繰り返し使用できる布製巾着袋に入れて販売しているのが特徴。同社は「これまでは一般ユーザーとの接点があまりなかったため、立ち上げたばかりのブランドが今後、売り上げにどう反映していくのか見ていきたい」とし、今後も自社商品の売り方を見直すなどしてアウトドア用品やアパレル分野へと商品の幅を広げていくという。

同社は70年近い歴史のある国内唯一の自転車用錠前メーカーで、防盗性に優れた自転車用ロックなどを手がけてきた。電動アシスト自転車の分野では8―9割のシェアを誇る。一方で、自転車やバイクの需要がコロナ禍で一時的に高まったものの、全体では落ち込む傾向にあり、付随するロックの需要も先が見通せない状況にあるという。

2020年ごろから営業部を中心に、これからの時代に何が提供できるのかを模索しようとマーケティング係を新設。コロナ禍で取引先などへの営業訪問ができなくなった時間をブランディングに当てた。キーワードとなる社会的背景を踏まえ、自社商品の売り方や新サービスを話し合い、それを形にしたのが、地元「丹波篠山」の地名をヒントにした新ブランド。

「TAMBAR」の文字やイノシシをモチーフにしたロゴマークを商品に入れ、全面に打ち出した。持続可能な開発目標(SDGs)の視点を取り入れ、これまで一般的だったプラスチック製の使い捨てパッケージを廃止し、巾着袋で販売。既存商品をアウトドアグッズのイメージで見せ方を変え、自社ホームページのリニューアル、イメージ動画の製作、交流サイト(SNS)での発信などを進めている。

既存商品にロゴマークを入れ、イメージを一新した商品

大阪府内で自転車店を展開する会社と提携し、新たに店舗での販売も始めた。商品の陳列棚を自然素材にしてアウトドアのイメージを強調しようと、NPO法人・バイオマス丹波篠山が普及に取り組んでいる、地元の間伐材を使った木工キット「クデジュー」を採用。商品を巾着に入れ、木製棚に並べて販売するスタイルが顧客の目を引き、購買につながっているほか、巾着袋もロックを入れておく以外の用途にも使えると好評を得ているという。

キャンペーンイベント時の社員用に作ったロゴ入りTシャツが顧客の話題になり、商品化第2弾として販売を決定している。さらに、同社が手がけるMJホーン(小型船舶などに使われる警音器)をより小型にし、クマ除けなどに使うアウトドアグッズとして売れないかと、商品デザインの見直しや収納用ケースの開発も含めた展開を検討している。

事業本部営業部の大沼修史部長(53)は、「働くわれわれが楽しまないと、ユーザーに思いは伝わらない。トライ&エラーで、新しいものを生み出す好循環をつくっていきたい。従来のロックやホーンにこだわらず、今ある技術を応用しながら、どんな可能性があるのかを探っていく」と話している。

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