在野の考古学者が40年の成果まとめ 県調査より古墳120基多く 市内最大級の円墳も発見

2023.08.17
地域歴史注目

自費出版した市島地域の古墳分布調査報告書を手にする東さん。並んでいる須恵器は、東さんが才田古墳群で採集し、復元したもの=兵庫県丹波市市島町上田で

兵庫県丹波市内の古墳を旧町ごとに調べている考古学研究家の東昭吾さん(53)=同市市島町出身、京都市=が、古墳好き少年だった自身のホームグラウンド、市島地域の古墳分布調査報告書を自費出版した。初めて調査した小学6年生から今年7月まで、40年の研究成果をまとめた。県教育委員会の「県遺跡地図」より120基多い、271基の古墳を確認。前山地区で丹波市内最大級の円墳を見つけるなど、顕著な成果を挙げた。

同市氷上、春日、柏原地域に続く4冊目。「地元は子どもの頃によく歩いたので」と、後回しにしていた。

市立竹田小6年生の時に初めて調査した市島町中竹田の水上では、県教委の調査で3基とされていたところ、18基を新たに確認した。

子どもの頃にかなり周辺を歩いたのに気づかず、2021年4月に見つけた片瀬古墳(同町上竹田)は、最大径39メートル、高さ5メートル。「現存する市内最大の円墳であることがほぼ確実」(東さん)。

このほか、2014年の豪雨災害で半壊になった才田古墳群(同町下竹田)から多数の須恵器片を採集。破片の一つひとつが大きいため、脚付き壷、高坏杯、直口壷など、かなりの数が修復でき、これらの写真も掲載している。

長者ヶ野古墳群(同町与戸)は、県教委の調査より11基多い23基を確認。うち3基は造成され、すでに確認できないが、市島中学時代の調査結果が残っており、報告書に加えた。調査期間は、1982―85年頃のほか、2020年以降が中心。

小学校区別では▽竹田=149(「県遺跡調査」掲載は89)▽前山=9(同3)▽吉見=80(同41)▽鴨庄=2(同0)▽美和=31(同15)―。

東さんは「横穴式石室は分かりやすいが、それより古い時代の古墳はマウンドが低く、使う石が少なく、見つけづらい。幼い頃はそういうものを見つけられなかったが、経験を重ねて見つけられるようになった」と成長を語り、「市島は目ぼしい古墳は存在しない地域という認識だったが、片瀬古墳などは市内でも興味深い存在で、故郷を大いに見直す機会になった」と報告書を結んだ。

東さんは専門的に古墳を学んだことはなく、会社員を続けながらライフワークで古墳を調べる在野の研究家。現在、文化財保護管理指導員。同市山南地域を調査中で、青垣で調査が一巡する。

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