田園交響ホールステージオペレータークラブ会長 山内伸広さん(兵庫県丹波篠山市)

2023.08.20
たんばのひと

山内伸広さん

非日常の緊張がやりがい

35周年を迎えた丹波篠山市の田園交響ホールと同じ年に生まれたステージオペレータークラブ(34人)。市主催行事や市民団体によるステージの演出を年70公演ほど担うほか、節目の年には自主企画イベントも開催する。

自身は2002年に入会した7期生。ステレオに音質を補正する音響機器をつないで音楽を楽しむうち、「ホールの本格的な機材で同じことができれば楽しいだろうな」と、養成講座の門をたたいた。

音響部に所属。覚えることも多く大変だったが、舞台が始まれば何よりその進行に集中し、役目を終えた機材などはどんどん片付けていく一連の合理的な動きが「面白かった」。入会翌年の自主公演で、落語家とジャズ奏者が共演するステージで初めて音響を任された。不安と闘い、冷や汗をかきながら何とか終えると、演者から「良かった」と褒められた。「プロの人に評価してもらえると思っていなかったので、うれしかった」と表情をくずす。

19年から会長に就任。「会員それぞれ入会した理由は違うけれど、良い舞台をつくりたいという思いは同じ。ボランティアなのに責任もあり、シビアなことを求められるときもある。好きでないとできない。『おはようございます』『ありがとう』『ごめんなさい』。あいさつと気遣い、会員に求めるのはそれだけ」と、主体性を重んじる。

全国各地のホールでは、同様の市民によるステージスタッフが会員減少などにより、姿を消す傾向にあるという。「日常では味わえない緊張感がやりがい。いろんな人と関わりながらステージをつくる楽しさを、若い世代にも味わってほしい」と先を見据える。48歳。

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