芸術家向けにゲストハウス 市職員の男性が自ら古民家改装 フランス人からの提案受け

2023.09.25
地域観光

祖父母宅だった古民家を改装したゲストハウス「entr」をオープンした小山さん=兵庫県丹波篠山市東岡屋で

兵庫県丹波篠山市職員の小山達朗さん(44)が、祖父母宅だった同市東岡屋の空き家を自身で1年半かけて改装し、ゲストハウス「entr」をオープンした。職務上、海外と接することが多かった時期に、芸術家がその土地に長期滞在しながら制作する活動「アーティスト・イン・レジデンス」を支える宿泊所が市内に少ないことに気づき、ちょうど空き家の活用を模索していたことから一念発起。現在、工房付きの宿泊スペースの改装を計画中の小山さんは「海外と丹波篠山の芸術家が交流できる場所になれば」と話している。

20年ほど前から空き家だった古民家の離れに宿泊用の2部屋(定員8人)を作り、現在、この部分のみ宿泊を受け付けている。バーカウンターとキッチンのある広々とした母屋はイベント&交流スペースにし、大きな窓から中庭や蔵が眺められる。浴室と更衣室も2つずつ設けた。

今後、2階建ての納屋の1階を工房に、2階を宿泊スペースに改装。さらに、蔵を2人用の宿泊スペースにする。

ゲストハウス「entr」の外観

同市が加盟している「ユネスコ創造都市ネットワーク」の担当だった5年前、同市をプレゼンしたポーランド・クラクフ市での総会で、「アーティスト・イン・レジデンスを支える宿泊所が丹波篠山市になければ、自分が作ってみては」と、フランス人の出席者から提案されたのがきっかけ。「(空き家活用を模索していた)自分とまちの課題が重なった」

昨年2月から、本職に影響が出ないよう、1人でこつこつと家具や畳などを整理したり、壁を取り除いたりした。床の土間打ちや、耐震補強などは大工に任せたが、漆喰の壁塗りは自分で仕上げた。一番大変だったのは、中庭にあった高さ5メートルほどのマツの処分で、「根も掘り出した」。石積みされていた大きな石も動画サイトを参考に、自分で砕いて処分したという。

先行オープンした宿泊スペース

「職場に副業申請はしているものの、本職に支障のない範囲で改装を進めたい」と小山さん。「国内外の芸術家に丹波篠山の文化を知ってもらい、市内の芸術家との交流を進めたい」と目標を語る。

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