ラオスの少数民族と布を手作りし12年 前川佐知さん(岡山県美作市)

2023.10.22
たんばのひと

前川佐知さん

布の“レシピ”残したい
 丹波篠山市大沢出身。ラオス北部に住むタンドン族の女性5人と布作りを始めて12年。1年のうち半年―10カ月は現地で暮らし、帰国した際には丹波篠山などで、作品や現地で撮影した写真を展示し、織りの技術や現地の暮らしを紹介している。コロナ禍で2020年3月に帰国。今年9月には3年ぶりに丹波篠山で展示会を開いた。

大学で染織を学んだ。2000年、バックパッカーでたまたま寄ったラオスで見かけた、現地の人が織り物をする姿に引かれた。数年後に再訪。「人と人との距離が近く、優しい国」だった。100とも言われる少数民族があり、それぞれに言語や文化、織物の柄も違った。

南部の地域から順に北上するうち、綿の文化が特に色濃く残るタンドン族と出会った。織った布を宝のように扱い、織った人が亡くなると、反物を分け合い、形見のようにして使い続ける文化があった。04年からはタンドン族の村に住み、綿を栽培して糸にし、草木で染め、織る技術を学んだ。道具も手作りする。

そのうちに村に電気が通るようになり、生活が近代化し、現金を求める暮らしに変わり始めた。大切な文化が消えてしまいそうに感じたが、「現地の技術や智恵を残そう」と強く思うようになった。

「ラオスの布は『人が見える布』。布の中に暮らしが想像できる。ぼろぼろになるまで使う。そこが魅力的」。現地で布を作りながら、数多くある部族の文化を見て回っているが、「まだ、3分の1も回れていない」と笑う。「ラオスの布の文化は家庭料理のレシピと同じでメモを残さない。織りの技術を記録に残しておきたい」。44歳。

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