兵庫県丹波篠山市今田町下小野原に、学校に行きづらい小・中学生や自然の中で五感を使って学ばせたい家庭を対象にしたフリースクール「パイナップルスクール」が開校した。「『発達障がいのわが子に合ったサポートを受けたい』『いじめで傷ついたり、学校になじめず通えないわが子を学ばせたい』といった保護者の思いに応えたい。自然との触れ合いを大切にしながら、子どもたちのさまざまな状況に合わせて支援していく」としている。週1回の年間固定曜日での通学が基本(毎月4回)で、各日午前10時―午後2時半。
2012年に同所に開設した発達支援教育施設「さくらエリクソン校」に併設。同施設を運営する「さくらこどもセンター」の姉妹会社「La luche(ラ・ルーシュ)」(神戸市)が運営している。
約1万3200平方㍍の広大な雑木林の中で自然と触れ合い、屋内では機織りや楽器、パソコン、3Dプリンターなどによるものづくりなど、さまざまな体験活動ができる設備を整え、子どもたちの自発的な学びを見守る。
これらに併せ、同センターが20年以上、発達障がいの子どもたちを指導してきた経験から編み出した「さくらメソッド」を使って支援する。臨床心理学と、自閉スペクトラム症の子どもたちの教育とトレーニング「TEACCH理論」をもとに、子どもの状況に合わせて生み出した指導方法で、子どもの不安や緊張、緘黙(かんもく)、不登校、ひきこもり、発達障がいなど、さまざまな状況に対応できるという。
また、子どもの心相談医、小児科専門医、精神科医など医療機関との密な連携が取れていることも特徴。
月5回以上の通学希望者にも対応する。定員は一日20人程度を想定。その中でグループ分けをし、最大5、6人の少人数で過ごす。
ラ・ルーシュの代表取締役、松本緑さん(61)は、「子どもたちが足元をじっと見つめているときや、ぼうっとしているときこそが大切な時間で、頭の中にその子が大切にしている世界が広がっている。そんなときは声をかけたりせず、行動を邪魔しないことが重要。僕が僕になる、私が私になる、誰でもない自分が自分になる。そんな時間と場所を提供したい」と話している。
パイナップルスクールなどの詳細はホームページ(「株式会社La luche」で検索)。