兵庫県丹波篠山市立歴史美術館(同市呉服町)で、特別展「武の姿 その装いと美」(一般社団法人・ウイズささやま主催)が開かれている。篠山藩主・青山家伝来の品など、鎌倉時代から江戸時代にかけて武将たちが身にまとったり、用いたりした武具51点を展示。単に武具としてだけでなく、意匠を凝らした工芸品としての魅力も光り、武将たちが当代随一の“おしゃれ”だったこともうかがえる。12月3日まで。
青山家の先祖に当たる青山忠雄の「黒紅糸威大袖具足(くろべにいとおどしおおそでぐそく)」(江戸時代前期)をはじめとする甲冑や、青山家の家紋「銭紋」を配した軍配、乗馬の際に使用した鞍などを展示。黒紅糸威大袖具足は落ち着いた色合いながら、獅子や龍などが描かれ、豪華さも見られる。
真珠光を放つ貝殻を使った「螺鈿(らでん)」が施された矢筒や、銭紋入りの火縄銃のほか、「丹波篠山住奥田重則」が制作した薙刀(なぎなた)「三日月丸」は、巨大な両刃の鎌のような形状をしており、どのように使用したかと想像力が膨らむ。
一方、15―16世紀に日本にやってきた南蛮人の衣装を日本風にアレンジした「南蛮袴(なんばんばかま)」や、加賀前田家に伝来し、重要刀装でもある太刀拵(たちごしらえ)など、装飾品的要素が強い豪華絢爛な品々も会場を彩る。
同施設は、「武将というと勇ましい姿を連想するけれど、華やかで風流、かつ文化人的な要素もあり、武具には当時の日本の最先端技術が詰まっている。ぜひさまざまな武具を見ていただき、いろんな武将の姿をイメージしてほしい」と来場を呼びかけている。
関連イベントとして25日午後1時半から、県立歴史博物館学芸員の前田徹さんが、「甲冑の基礎知識と合戦図の観賞」と題して講演する。参加無料で定員30人。
江戸時代の本物のかぶとをかぶって記念撮影できるワークショップ(300円)も実施している。月曜休館。