地域の人たちが名付け親 夫婦イチョウと千年もみ 連載”まちの世間遺産”

2023.11.15
地域自然観光

色付き始めた夫婦イチョウ

当たり前にありすぎるけれど、住民が大切にしていきたいもの「世間遺産」―。丹波新聞では、兵庫県丹波地域の人や物、景色など、住民が思う”まちの世間遺産”を連載で紹介していきます。今回は、兵庫県丹波篠山市大山宮の追手神社境内にすっくと立つ樹齢約400年の「夫婦イチョウ」と、樹齢1000年と伝わる国の天然記念物「千年もみ」です。

追手神社には、「丹波の森名木ガイド」(兵庫丹波の森協会発行)にも掲載されている3本の名木(イチョウ、モミ、ムクノキ)がある。中でも、イチョウは「夫婦イチョウ」、モミは「千年もみ」と呼ばれ、地元住民に親しまれている。

国道176号からも見える立派な夫婦イチョウ。葉が黄色に色付き始めた。毎年、境内が黄色のじゅうたんを敷き詰めたようになり、撮影スポットになっている。黄葉の見頃は11月中旬―12月上旬とみられている。

イチョウは雌雄異株と言われ、雄株と雌株があり、銀杏がなるのは雌株だけ。同神社の夫婦イチョウは雄株と雌株が寄り添うように並んで立つ。胸高幹周りは雄株が約3・7メートル、雌株が約3メートル。生育の状況からみて、同じ時期に植えられ、樹齢は400年程度と推定されている。

国天然記念物の「千年もみ」

千年もみは、1989年の環境庁の調査で、モミでは日本最大と分かり、翌年、国の天然記念物に指定された。その後、自治会内に「大山宮天然物保存会」が結成された。境内周辺に自生する貴重な山野草と共に住民が保全管理し、案内パンフレットも作成している。指定後に地元の子どもたちからも愛称を募り、「夫婦イチョウ」「千年もみ」の名が付いた。

自治会の男性によると、「指定から30年たち、愛称はすっかり定着し、地域みんなで見守っている」という。

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