常瀧寺の大イチョウ再興プロジェクト 藤田元太さん(丹波市)

2023.11.12
たんばのひと

藤田元太さん

巨木「未知の生物のよう」

推定樹齢1300年、幹回り11メートルと近畿最大の「常瀧寺の大イチョウ」(県天然記念物)。地元、丹波市青垣町大名草の保存団体「乳の木さんを守る会」会員の高齢化などで手入れが行き届きにくくなった巨木を、愛される地域資源にすべく、保全・活用に取り組んでいる。

初見時、「未知の生物に見える」衝撃を受けた。黄金色の絶景が広がる中に、見物客の姿はなくネット上に情報も少なかった。「眠らせておくのはもったいない」と、同寺、寺総代、守る会などに保全の手伝いを申し出た。周囲の協力で活動が大きくなり、活動2年目の昨年、初めてライトアップ。「誰も見たことのない景色」を作り出した。10年ぐらいかけてできたらいいな、と漠然と考えていたことが、神楽自治振興会の資金援助でできた。

同寺は今秋、市観光協会の「丹波もみじめぐり」に加わった。紅葉見物客の半数近くが、まだ青い大イチョウ見物に山を登るのも、プロジェクトの発信で認知度が高まった成果。昨年、地元の女性から「嫁いで30年、初めて登った」と言われ、「一つ、事を成し遂げた気になった」。プロジェクトを始め、各地のイチョウの巨木を巡った。多くが、車ですぐそばまで近づける場所にある。常瀧寺の大イチョウまでは、山道を30分歩く。「車で登れたら、の声も聞くが、香川の金毘羅さんのように、しんどい思いをして登るのも一つの価値」と、大きな開発は頭にない。

18日から月内の土日夜にライトアップと夜間ハイクイベントを計4回開く。今年の集客いかんで、来年以降の継続可否が決まる。「照明で未知の生物感がより高まる幻想的な大イチョウを一緒に見ましょう」と来場を募っている。34歳。

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