兵庫県丹波市春日町の細見宏さん(70)が、丹波新聞で連載中の4こま漫画「たんばがくえん」を本にまとめ、自費出版した(制作・印刷=丹波新聞社)。1998年に始まった連載のうち、2014年から今年までの10年間の作品の中から、よりすぐりの408作を掲載している。連載開始から25年の節目に、古希を記念して制作し、「人とは違う、自分なりの人生の1ページがつくれたようでうれしい」と喜んでいる。
子どもの頃から漫画が好きで、イラストを描いたりしていたが、40歳代の頃、ビッグコミック(小学館)で連載の4こま漫画「C級さらりーまん講座」(山科けいすけ作)に触発され、「自分も4こま漫画を描いてみよう」と思い立ったという。
「主人公は高校2年生の快活な女の子で、学園モノ」と構想を固め、「たんばがくえん」を描き始めた。しばらくして、地元紙の丹波新聞には4こま漫画が載っていないと気付き、飛び込みで作品を持ち込んだ。当時を振り返り、「会社の前で行きつ戻りつし、5回目で思い切って扉を開けた」と笑う。
採用が決まってからは、「連載に穴を開けてはいけない」と強い使命感を持ち、毎朝4時に起きて出勤前に机に向かった。週2回発行で、毎月約10作。「続くかどうか不安だったので、努力しないといけないと思った」と話す。以来、締め切りを守り続けている。
「たんばがくえん」の“ネタ”は、「どの家にでも起こるようなこと」がメイン。平成から現代が舞台だが、昭和の懐かしい空気感も織り込まれている。主人公は「にしき」で、小学5年生の弟「猪の介」がおり、両親は「米作」と「苗子」。時事ネタも絡めたほのぼのとした日常描写が魅力で、近所の一家、学校の友だちや先生、2匹の野良猫たちもしばしば登場する。
「どの作品も全部気に入っている。本でまとめてみると、新聞で1作ずつ見るのとはまた違って面白いと思う。子どもたちにも読んでもらえればうれしい」と話し、「これからも5年、10年とできるだけ描き続けたい」と話している。
B5判227ページ。定価2000円で販売中。