氷上回廊水分れフィールドミュージアム(兵庫県丹波市氷上町石生)で冬季特別展「檜皮葺(ひわだぶき)展」が開かれている。檜皮ぶきは、ヒノキの樹皮を使った日本の伝統的な屋根ふき技術で、ユネスコの無形文化遺産にも登録され、同市山南地域に関連職人が多くいる。特別展は、工程説明パネルをはじめ、実際に職人が使用している道具も並べており、日本の伝統技術を体系的に学べる内容になっている。
同市山南町内の関係3社(村上社寺工芸社、友井社寺、大野檜皮工業)が展示に協力した。道具類は、樹皮を採取する職人「原皮師」が使うものや、材料を作るときに使うもの、屋根をふく際に使うものなどを展示。職人が使い込んでつやが出て、あめ色になったものもある。
ヒノキの樹皮は、屋根の使用部分によってサイズの異なる「平皮(ひらかわ)」(長さ75センチ)、「軒皮(のきかわ)」(同36センチ)、「生皮(なまかわ)」(同)の実物の束も展示している。
また、同施設教育普及専門員の海老原茉里奈さんが撮影した、丹波市内で文化財に指定されている6カ所の檜皮ぶき屋根の写真タペストリーも目を引く。
海老原さんは「包丁一本で屋根の美しいカーブを表現するなど、檜皮ぶきは材料作りから屋根ふきまで、何もかも洗練されていると感じる。深く知ると、屋根を見る目が変わる」と魅力を話していた。
2月16日まで。檜皮葺展は観覧無料(1階の常設展は有料)。期間中、檜皮ぶき体験と檜皮コースター作りのワークショップがある。