兵庫県丹波篠山市今田町下小野原(69戸)の公民館で9日、ヌルデ(ウルシ科)の木で作った「ゴズエ(牛玉杖)」と呼ぶ杭で机上を激しくたたき、五穀豊穣や無病息災などを祈願する風変わりな法要「堂の講(どのこ)」が営まれた。
住民14人が参加。シキミの枝に半紙を飾った長さ約50センチのゴズエと、同じくヌルデでこしらえた細長い棒を手に持ってスタンバイ。祭壇に祭った地蔵菩薩の木像に向かって経を唱える和田寺の武内泰照住職(55)が錫杖(しゃくじょう)を振り上げると、それを合図に一斉にゴズエと棒で机上を激しくたたき、「ドドドドドッ」と室内にけたたましい音を響かせた。
江戸時代初期にはすでに行われていたとされる行事で、もともとは豊作祈願や虫よけ、雨ごい、牛馬の健康などを祈願していたという。机上をたたくのは願いの強さを表現しているとされる。
般若心経を唱えた後、当番人が参加者一人一人にお神酒や洗米を配り、硯(すずり)の墨をつけるしぐさをしながら黒色の短い棒を、額、あご、鼻の順に3回繰り返して押し当てる「いんのこ(印の功、印の幸)」の儀式を行い、無病息災などを祈った。
ゴズエは各自で持ち帰り、田んぼに水を引き入れる「水口(みなくち)」に立てる習わしがある。