瓶割峠プロジェクト推進連絡会世話人 上田正三さん(神戸市)

2024.02.11
たんばのひと

上田正三さん

古道再興は「ミッション」

近畿2府4県と岐阜県の33寺院からなる西国三十三所の巡礼道として使われ、丹波市春日町国領地区と丹波篠山市大山地区を結ぶ古道「瓶割峠」の遊歩道を整備し、両地区の活性化を目指す「瓶割峠プロジェクト推進連絡会」の世話人を務める。先代にとっても思い入れのある地域遺産を再興し、次世代に引き継ごうと奔走している。

神戸市東灘区で生まれ育った。父は春日町、母は大山地区の出身。祖母が瓶割峠を歩いて大山へ嫁いだ話は聞いていたが、実際に山に踏み入れたことはなかった。

初めて入ったのは定年退職後。倒木や折れた枝だらけの山をさまよう中で偶然、新道建設に貢献した人の名が刻まれる顕彰碑を見つけた。そこには、上田さんの曽祖父と、曽祖叔父の名があった。運命的な出来事に、「『じーん』ときた。峠整備は『ミッション』だと思い込んだ」と笑う。

発案者となり、2012年に住民らと共に整備を開始。一時はストップしたが、一昨年に再始動した。今後、ホームページやユーチューブなどの交流サイト(SNS)を通じ、ハイキングの楽しみ方や歴史をアピールしていく。25年の大阪・関西万博に合わせた県の体験型観光事業「ひょうごフィールドパビリオン」のプログラムにも選ばれた。

「両地区の活性化につなげる『ランドマーク』にしたい。山菜も豊富で、自然を楽しめる『プレイランド』になり得る。可能性を秘めたフィールド。整備と活用の仕方次第」

現在は神戸と丹波で2拠点生活を送る。春日町棚原にある築約130年の由緒ある古民家「本上田邸」の当主。80歳。

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