「瓶割峠」盛り上げよう HP立ち上げ観光事業で発信 2市の住民ら連携

2024.03.11
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瓶割峠のホームページを制作した「瓶割峠プロジェクト推進連絡会」の上田さん、渡辺顕さん、井上さん(右から)=兵庫県丹波市春日町国領で

兵庫県丹波市春日町国領地区と丹波篠山市大山地区を結ぶ古道「瓶割峠」をPRするホームページを、両地区の有志住民や登山家、ウェブデザイナーら6人でつくる「瓶割峠プロジェクト推進連絡会」が制作した。山菜や昆虫採集、歴史遺産探索といった「遊び方」、近隣の店などを紹介している。県が2025年の大阪・関西万博に合わせて催す体験型観光事業「ひょうごフィールドパビリオン」のプログラムに、同峠で行われる里山体験が認定されており、両地区の活性化に向け、整備が進む古道の活用を加速させる。

同峠の歴史のほか、自生する山菜、散策に適した服装なども紹介。おすすめの飲食店や温泉、古道具店、宿泊施設など約15施設のホームページにつながるリンクも載せている。

トップページに表示される「瓶割峠」の文字は、2004年のNHK大河ドラマ「新選組!」のロゴを手がけた丹波市出身の書家・荻野丹雪さんが揮ごうした。

同連絡会世話人の一人で、父は春日町、母は大山出身の上田正三さん(80)=神戸市東灘区=が発起人となり、2012年から国領側で住民や日本森林ボランティア協会員らと遊歩道の整備を始めた。一時は滞ったが一昨年に再開。倒木や不要な木を除去し、環境を整えてきた。

整備が進む中、「地域住民が発信し、多くの人に来て、見て、学び、体験してもらう」がコンセプトの同プログラムに認定。同峠の認知度が低く、登山道の整備が進んでいなかった大山側でも認定を機に整備に着手する。入り口の看板設置なども考えている。

ホームページは、瓶割峠を広くアピールするための「道具」として作った。今後、ユーチューブチャンネルも立ち上げ、登山ルートを歩く様子を収録した動画を公開したい考え。

国領自治会会長で、同プロジェクト世話人の井上祥太郎さん(71)は「小さい頃は遠足で歩いていた道でなじみがある。歴史ある峠道を次の世代の人に残し、親しんでもらいたい」と話す。

大山振興会理事長で、同プロジェクト世話人の伊勢隆雄さん(77)=丹波篠山市大山上=は「インバウンドの観光客たちに瓶割峠へ足を運んでもらい、季節に応じて大山の魅力を発信できれば理想」と展望を描く。

上田さんは「ホームページはいわば次世代への『引き継ぎ書』。両地区の地域活性化につなげる『ランドマーク』にしたい」と力を込める。

◆瓶割峠◆ 峠が急峻(きゅうしゅん)で、荷車に載せた瓶(丹波焼)が転がり、岩に当たって割れたことにちなむとされる。距離はおよそ2・5キロ。江戸時代には、近畿2府4県と岐阜県の33寺院からなる「西国三十三所」の巡礼道として使われていた。1899年(明治32)に阪鶴鉄道が開通するまでは、交通の要所として栄えた。

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