約1600株のハナショウブが咲く三ッ塚史跡公園(兵庫県丹波市市島町上田)周辺で、6月2日午前10時から「市島町三ッ塚花しょうぶまつり」(同実行委員会主催)が開かれる。地元の子どもたちによるステージや、飲食屋台の出店などがある。雨天時の会場や出演者の控え室として利用していた体育施設「愛育館」(同町上田)の閉館により、旧市島町時代から37年目となる今年で歴史にピリオドを打つ。今後、まつりの運営方法を見直し、住民たちが交流できる新たな催しを模索するという。
ステージでは、同町内の認定こども園「あいいくの丘」「いちじま子ども園」の園児が遊戯を披露する。市島中学校、福知山成美高校の吹奏楽部や、福知山淑徳高校の和太鼓部も出演。民踊やダンスなどを披露する地元グループもある。
また、屋台やキッチンカーなど、同町内を中心に十数店が出店。「有機の里」として知られる同町産の有機野菜の販売もある。かつて使われていた発動機の展示や、ミニ蒸気機関車の乗車体験なども。隣接する市島民俗資料館も開館する。
同まつりは、色とりどりのハナショウブが鮮やかに咲き誇る同公園をアピールし、地域の子どもたちの発表の場にもなればと、1988年に旧市島町が始めた。同じ年に同公園を発着点とする「三ッ塚マラソン大会」も始まった。
2004年の旧氷上郡6町合併後は、地元の吉見地区自治振興会が市島町から運営を引き継いだ。以来、同自治振興会や同地区内の自治会役員らで実行委をつくり、ハナショウブが見頃を迎える6月に毎年開催。町内外の住民が参画するイベントとして親しまれてきた。
老朽化により愛育館の閉館が決定。34回の開催(コロナ禍は中止)を数え、同館が休憩所などとして利用されていた同マラソン大会は今年で最後となった。閉館を受け、実行委員会で開催の可否を協議。吉見地区の自治会役員の負担の大きさや、近年の天候不順で開催日とハナショウブの開花時期が合わないといった課題も考慮し、今年で区切りをつけることに。市支所跡地に新たな地域拠点施設が完成するまでの間で新たな催しを考えることにした。
実行委員長の坂谷高義さん(78)は「マラソンもなくなり、寂しいことは寂しいが、考える時間ができたとも言える。吉見地区自治振興会だけでなく、町内の各自治振興会にも意見を求めたい。まずは地域の人が楽しめて、多くの人が集まれるような催しを考えたい」と前を向く。
最後の開催に向け、「『あの年にはあんなことがあった』と思い出しながら、三ッ塚史跡公園を未来へ生かしていくための方法も一緒に考えてほしい」と呼びかける。