およそ120年に1度とされるハチクの一斉開花が全国で見られる中、兵庫県丹波市青垣町桧倉でも同様の現象が起こっている。新緑がまぶしい山々にあって、ハチクの林だけが茶褐色で、秋の風情。また、同市春日町小多利の個人宅の鉢植えのクロチクも開花している。竹はイネ科で、出穂期の稲をとがらせたようなギザギザの花がたくさん咲いている。珍しい光景だが、花が咲いた竹はしばらく後に枯れるとされる。
同県立人と自然の博物館の橋本佳延主任研究員によると、2017年ごろから、四国から関東にかけて「一斉開花枯死」が見られ、桧倉の竹林はこのケースにあたるとみられる。竹林のそばに住む足立田鶴子さんは、「過去に1本、2本、竹の花を見たことがある。今回は竹やぶ全体。どうなってるの」と目を白黒させる。
春日町の由良初美さん宅では、鉢植えで20年ほど育てているクロチク2鉢がそろって開花。由良さんは「初めて見た」と驚いている。鉢は自宅の南北別の場所に置いている。「原因は何」と不思議がる。
橋本主任研究員によると、竹の品種によって異なる周期で生じる一斉開花枯死が起こる理由は「分かっていない」という。成分を調べると、炭素とチッソの比率が変化していることが分かっているが、それが原因かは分からないという。
また、一斉開花枯死以外にも、何らかのストレスがかかったときに開花することがあり、足立さんが過去に見たケースや、由良さん宅のクロチクは、ストレス由来の開花と推察する。ストレスは、伐採など物理的な場合以外も生じるという。